急性冠動脈閉塞

急性冠症候群(ACS:Acute Coronary Syndrome)とは

 急性心筋梗塞は、心臓の筋肉へ血液をおくる「冠動脈」が閉塞することにより生じます。
 以前は、急性心筋梗塞動脈硬化によって血管が徐々に狭くなり、最終的に閉塞するために起こると考えられていました。

 ところが、1990年代の前半になると大部分の急性心筋梗塞は軽度のプラークを被う表面の膜が破れ、血管壁の脂質プラーク成分が血液に触れることにより、血管内に血液の塊「血栓」ができることが「急性冠動脈閉塞」の主な原因と分かりました。
一部には血管組織の損傷が浅く破綻に至らない、「びらん」から血栓ができることもあります。また、冠動脈壁にある平滑筋の痙攣から血栓形成へと進展することがあることも確認されています。
 また、狭心症が頻繁に起こるようになる「不安定狭心症」は完全閉塞にまで至らないまでも血栓が大きくなったり、溶けて小さくなったりすることによる不完全な閉塞によることも分かってきました。

 心臓突然死のかなりの部分も血栓の形成による血管閉塞が原因と考えられています。

 このように、冠動脈の「プラーク(粥腫:じゅくしゅ)※の破綻」とそれにより生じる「血栓形成」を原因として起こる病気を「急性冠症候群」と呼びます。従来の急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓突然死を病気の発生機序からひとまとめにした病気の呼び方です。

病気の原因が同じなので治療方法が共通した部分が多く、治療する上で大事な知識です。