ベニクラゲとは?

 南紀白浜京都大学院理学研究科瀬戸臨海実験所の久保田信助教授が、死んだはずの田辺湾産のベニクラゲから、若い世代に生まれ変わることを示すポリプができているのを確認した事と、日本で若返りが確認されたのは、鹿児島市かごしま水族館についで2個体目である事が報道されていました。

 私はこの研究者に注目しました。久保田信助教授か、日本にもピライノ博士みたいな人がいるんだなと思いました。

京都大学大学院理学研究科付属瀬戸臨海実験所のホームページを見つけ、詳しく調べてみました。すごい設備があり、水族館もあることがわかりました。

 岩場にそって5メートルほど潜ると、大小様々な海底洞窟がぽっかりと口を開けています。水中ライトで照らしながらそのうちの一つに入っていくと、天井の部分にふさふさとした数センチほどの白い毛のようなものが生えています。

近くでよく見ると、植物のような姿です。幹があり、枝があり、枝には実のようなものがなっている。それが波に揺られ、ゆらゆらと動いています。

 じつは、この植物のような生き物は、ポリプと呼ばれるクラゲの若い世代の姿なのです。ポリプは先端にある触手で植物プランクトンなどを捕らえて成長します。幹や枝が大きくなるにつれて実も大きくなり、やがてその実が泳ぐクラゲとなって枝を離れていきます。

 顕微鏡映像で見ると、若い細胞がどんどん増殖して新しい姿を形作ってゆくのがわかります。クラゲの姿は完全に消えて、さなぎからストロン『走根(そうこん)』と呼ばれる細い根のようなものがすごい勢いで伸びてきます。

ストロンは岩にへばりつき、そこから幹が立ち上がり枝が生えて、再びポリプとなってよみがえったのです。

 死んだような状態になってから復活するまでに丸二日かかります。この奇跡の48時間で彼らは完全によみがえり、新しい一生が始まるのです。


最初のテレビ放送

 1998年11月20日のことです。その日私は夕食をすませると、いつもどうりのんびりとテレビを見ていました。9時になるとNHKスペシャルが始まりました。タイトルが「海 知られざる世界」で、副題が「眠る巨大資源」です。


 ところが、ここからベニクラゲの話が始まったのです。私の目はテレビに釘付けになりました。地中海の海底洞窟で採取されたベニクラゲが、奇跡の48時間を経て、見事によみがえる映像が展開したのです。

特に、さなぎのような状態からストロンが伸びてゆくシーンは圧巻でした。高速度映像なのでしょうが、くねくねと激しく動きながら、まさに根が走るように伸びてゆくのです。