ゼロポイントフィーロド3


 さらに根本的には、彼らが提供した証拠は、私たちすべてが、その存在の基盤において、たがいにも、世界とも結びついていることを示していた。

彼らは科学的な実験を通じて、宇宙全体を流れる生命力のようなものーこれまで集合意識とか、神学者によって精霊とか呼ばれてきたものーが存在する可能性を示してきた。

これまで何世紀も人類が信じてはいたものの、確固たる証拠がないか、適切な説明が困難だった領域、たとえば代替医療の有効性から、はては来世への祈りに至るまで、種々のことがらに有望な説明を与えてくれたのだ。
それは、ある意味で、宗教の科学であった。

 ニュートンダーウィンの世界観と異なり、そうした考えは元気を与えてくれる。そこには、秩序や制御という含みがあり、私たちを力づけてくれる。私たちは自然が生んだたんなる偶然の産物ではないのだ。
この世界には目的と統一が存在し、その中に私たちの場所があり、そして私たちは世界に対して重要な貢献をしている。私たちの行為や思考は無視できないものであり、実のところ、この世界を形成するために不可欠だったのだ。

人間はばらばらに切り離された存在ではなく、私たちと彼らという区別は意味がない。私たちは本来の場所を取り戻し、宇宙の中心へと戻ることができるのだ。

 『フィールド響き合う生命・意識・宇宙』は、こうしたばらばらの研究を、整合性のある全体にまとめようとした、初めての試みのひとつである。その過程で、これまではほとんど宗教、神秘主義代替医療ニューエイジの憶測とされてきたものにも、科学的な妥当性を与える。

 ゼロ・ポイント・フィールドからエネルギーを取り出すことは理論的には可能だった。自然界においても、これこそまさに、宇宙線が「増大したり」、超新星ガンマ線バースターからエネルギーが放出されるときに起きていることだ、と科学者たちは考えていた。

このほかにも、音が見事に光の波に変換される音ルミネッセンスというアイデアも存在していた。この現象では、強烈な音波を受けた水が気泡を生み、それが急速に収縮して崩壊し、一瞬の閃光になる。

一部の科学者たちの理論では、この現象は気泡内部のゼロ・ポイント・エネルギーによって生じ、気泡が収縮してしまうと、そのエネルギーが光に変換されるものとされていた。しかし、パソフはすでにこうしたアイデアを逐次検証済みであり、ほとんど実用上の希望はないと考えていた。

 合衆国空軍は、ゼロ・ポイント・エネルギーで駆動される宇宙線というアイデアにも検証作業を進めていた。
このアイデアでは、超低温に冷却し、衝突がまったくないー絶対零度に限りなく近く冷却した−真空トラップないで陽子が加速される。

陽子がいったん加速されはじめたら、これは、陽子の真空変動からエネルギーを取り出すのに、考え得る最高の真空になる。
このほかにも、エネルギーの多いゼロ・ポイント・エネルギーの高周波部を、特別に作成したアンテナを使うことでダウンシフトするというアイデアもあった。