起立性低血圧症

どんな病気か
 起立性低血圧症は体位変換時、とくに臥位(がい)(寝た状態)や座位から急に立ち上がった時に血圧が下がり、ふらつきやめまい、易(い)疲労感(疲れやすい)、動悸(どうき)、視野のかすみ、眼前暗黒感、時には失神などを伴う病気です。

原因は何か

 立位になると全身の循環量のうち、500〜800mlは腹部や下肢に移行します。そうすると心臓にもどる静脈還流量が減少します。

そのため、心拍出量(心臓から送り出す血液量)は減り、大動脈や頸(けい)動脈洞にある圧受容体(血圧をコントロールする器官)の刺激も低下します。

 正常なら、これが誘引になって交感神経を中心とする調節反射がはたらいて、心拍数の増加や心臓の収縮能、末梢血管の抵抗が高められ、立位になっても血圧が維持されます。

 しかし、このような血圧コントロールの過程のなかで、何らかの原因で調節反射が正常にはたらかないと、血圧は起立時に下がったままで臥位の状態にもどらず、起立性低血圧になります。

治療の方法

 起立性低血圧症の治療では、生活指導を含めた一般療法と薬物療法が基本になります。一般療法は本態性低血圧症の治療と共通することが多く、生活指導から運動療法、物理療法までが行われます。