地球上で生命が生まれる時、>

突然生まれたわけではない。

簡単な物質から複雑な物質をしだいしだいに合成しながら、秩序あるシステムを形成し、その機能を高めて、より生物に近いものへと進化していった。

地球が形成されて、最初の生命が誕生するまでのおよそ十数億年が化学進化の時代、それ以後は生物進化の時代と呼ばれている。

すなわち、化学進化の過程を研究することは、物質の進化の過程を化学的に研究することにほかならない。

 最近、海底の高温の熱水環境下で生命は誕生したのではないかという可能性が注目されるようになってきた。

海底熱水噴出孔は有機合成反応の場に適している。地殻の裂け目からしみ込んだ水海水は、マグマの熱により急激に熱せられるが、直ちにそのマグマとの接触面を離れ、冷却される。
だから反応生成物は熱による分解を避けることができる。海底熱水噴出孔は熱勾配のついた流動反応炉である。