ナノテクノロジーとヘリカル/らせん構造物質

 21世紀はナノテクノロジーの時代であると言われている。

その中で、フラーレン(1985年、Krotoらが発見)やカーボンナノチューブ(1991年、飯島澄男が発見)などの新炭素系材料に注目が集まり、多くの研究者が精力的に研究を進めている。

フラーレンは、炭素原子からなる六角形と五角形(必ず12個)が球形に結合したもので、ちょうどサーカーボール状をしている。生命体も同じような構造体を作り出している。

 たとえば、球状珪藻土であるが、主として六角形と五角形からできている。ナノチューブベンゼン環がつながってできたシートが筒状に巻いて微小中空状ファイバーになったものである。

 ナノテクノロジーの原点は生命体であり、これに学ぼう(バイオホミメティック)とする動きが活発化しているが、生命体の原点は3D-ヘリカル/らせん構造であるという点から忘れられている。

ナノ化とヘリカル化はナノテクノロジーの両輪でもある。

ナノチューブ研究者の一部は、“ナノチューブは大変興味があるが、応用面ではカーボンコイルの方がはるかに魅力的である”として、コイルの研究を始める人が増えている。

事実、国策としてナノチューブに何百億円の研究費を投入しているが、いまだに大きな応用は見えてこない。
しかし、カーボンコイルはすでに化粧品、電磁波吸収材などへの具体的応用が進んでいる。
理論的・学問的興味のあるナノチューブに対して、宇宙から生命体、素粒子にいたる森羅万象の根源的構造・機能を持つカーボンコイルとの違いなのか。