感染症流行

脅威潜む

温暖化“運び屋”も北へ

日本の都市部で流行が懸念されるのが、デング熱だ。東南アジアから中南米まで広い範囲に分布し、三八―四〇度程度の高熱が続き、激しい頭痛や筋肉痛も引き起こす。

現在、全世界で年間約一億人が発症していると推定されている。

 ウイルスを媒介するヒトスジシマカは日本国内にも生息し、特に「日本では都市部で発生密度が高い」(環境省)とされる。このヒトスジシマカの生息域が、近年の温暖化で北へ拡大している。

国立感染症研究所(東京都)の小林睦生・昆虫医科学部長らの調査では、第二次大戦後間もないころは関東地方北部が分布の北限だったが、現在は岩手県秋田県まで広がっている。


デング熱日本脳炎懸念

日本国内に存在する感染症としては、コガタアカイエカが媒介する日本脳炎が挙げられる。予防接種の効果で患者は激減しているが、今でも年間数人が発症している。

日本脳炎ウイルスは夏の気温が高い年に活発になるとされ、猛暑が続けば、ワクチン接種など十分な対策が必要になる。