薬剤耐性の獲得

 いちど獲得された耐性は、遺伝によってその子孫にも伝えられる遺伝的形質である。この形質は薬剤耐性遺伝子によって担われている。

薬剤耐性遺伝子は、その薬剤による作用から逃れるための機能を備えたタンパク質の情報をコードしており、感受性の病原体がこの遺伝子を何らかの方法で獲得することで、薬剤耐性は獲得される。

 新しい化学療法剤が開発され、医薬品として使用されるようになると、間もなくその薬剤に対する耐性を獲得した病原体が現れる。

通常は、一年以内には既に耐性微生物が検出されるようになることが多い。特に同じ種類の薬剤を大量、あるいは長期間にわたって使用すると、環境や患者から分離検出される頻度が高くなる。
特に、抗生物質の開発以降は、抗生物質が無効なウイルスや耐性菌などによる疾患に対しても安易な投薬が行われた結果、薬剤耐性菌の蔓延をまねいたと言われている。