アービン・ラズロ・・・・・?

 現在、科学の最先端で、注目に値する一つの洞察が登場しつつある。

それは、宇宙は、そのなかに存在するすべてのものと共に、生物にも似た一貫性を持つ一つの総体をなしているという洞察だ。

宇宙に存在するすべてのものは互いに結びついている。

ある場所で起こるすべてのことは、ほかの場所でも起こる。
あるとき起こるすべてのことは、ほかのすべてのときにも起こる。
そして、かって起こったすべてのことの痕跡は、消え去ることなく永らえる。今日ここにあっても明日は消えてしまうような、完全に無常なものなど存在しない。

万物にそなわる驚異的な一貫性

身体の驚異的な一貫性


 ダイナミックな平衡状態が実現するためには、生命体全体を通して、長距離でほぼ瞬時に起こる結びつきが成り立っていなければならない。

このような結びつきの広がりと、それが生命体のなかを伝わる速度は、これまで科学者たちが考えていた水準をはるかに超えている。
たとえば人間の身体は、約1000兆個の細胞からできているが、これは銀河系を構成する恒星の数よりはるかに多い。

bこの細胞のうち、毎日6000億個が死に、同じ数の細胞が新たに生み出されている。平均的な皮膚細胞の寿命は約二週間で、骨細胞は三カ月ごとに生まれ代わる。

九〇秒ごとに数百万個の抗体が合成されるが、それぞれの抗体は約一二〇〇個のアミノ酸でできている。また、一時間ごとに二億個の赤血球が再生産されている。
米国オークリッジ国立研究所が行なった放射性同位元素分析によれば、一年間で、生体体を構成する原子の九八パーセントが入れ替わるそうだ。

心臓や脳の細胞は他の細胞よりも長生きするとはいえ、身体のなかに存在するもので不変なものなどない。
それでも、あるとき共存しているものは、毎秒幾千にものぼる化学反応を体内で起こすのであり、それらの反応のすべてが正確かつほぼ瞬時に調製されて、生命体全体のダイナミックな秩序を維持しているのである。