ダイキン流「ええかげん」力

欧州など世界でエアコンを拡販し、14期連続で増益を続けるダイキン工業。マザー工場である滋賀製作所では、ムダを徹底排除するトヨタ生産方式に、独自方式をミックスしたユニークな思想が根付いている。

14期連続の増益に猛進
「鼻の差」で世界一が射程
 「この工場にはダイキン流の“ええかげんさ”があるんですわ」
標準語の「いいかげん」とやや違い、関西弁の「ええかげん」には「ゆとりがある」というニュアンスが含まれる。トヨタ生産方式の追求=ムダの排除と、この「ゆとり」。相反する二つの概念、どうつながるのか。

 その室外機工場に一歩足を踏み入れると、ある特徴に気がつく。部品を載せたパレットをコンベアで流し(=ライン生産)、それを作業員がコンベアの中で組み立て(=セル生産)ていた。

 また、室内・外機工場のどのラインにも、ただ周囲の様子をうかがうだけのスタッフがいる。「リリーフ」と呼ばれ、滞っている工程があればすぐにサポートに入れるように、これまた“ええかげん”に配置されている予備人員だ。

 トヨタ生産方式でガチガチに管理してしまうよりも、「柔構造」にしておくことで、急な機種変更や特需などに対応できるという側面もあるのだ。