全ての不良債権を背負って倒れゆく米政府

 アメリカでは、金融危機によって金融機関が抱えた巨額の不良債権を、政府が公的資金で買い取る金融救済の新法の制定が進んでいる。

買い取り総額は、2年間で7000億ドルが想定されているが、米住宅価格の下落ぶりから見て、米金融界の不良債権は今後さらに拡大することが必至だし、米民主党は「景気対策財政支出もここに盛り込むべきだ」と言い出しているので、おそらく動き出したら総額は1兆ドルを超え、2兆ドルに近づくだろう。

救済策の総額はすでに、当初構想の5000億ドルから、20日に議会に提示されたときには7000億ドルに増えた。

 米では毎年の軍事費が5000億ドル程度だ。救済策の予算は2年で1兆ドル強と考えられるので、軍事費と同じ規模だ。来月から始まる米の来年度予算の財政赤字は、すでに史上最大の4820億ドルだが、そこに初年度分の不良債権買い取り資金が上乗せされる。

金融危機によって米の不況は悪化するだろうから、来年度の財政赤字は急増して1兆ドルに近づくかもしれない。米の財政赤字の総残高は、10兆ドルである。

 財政赤字米国債の発行で穴埋めされるが、現在、米国債の半分近くはアジアや中東産油国などの外国の政府機関や投資家が買っている。彼らが、赤字が増えすぎて米は国債を返せなくなるのではないかと懸念して、米国債を買わなくなると、長期金利の高騰(長期国債価格の急落)が起こり、最終的に米国債債務不履行となり、ドルは価値を急落させる。

 米政府案では、新救済策は米財務省によって実施され、ポールソン財務長官に絶大な顕現が与えられる。金融システムを守るために必要だと思うあらゆる種類の企業の不良債権を、公金で買い取れる。

参考
価格より高めに買うと、後から精査されて「高く買いすぎた」と訴追・非難される可能性が増すので、後からの精査や訴追を禁じた。