「世界通貨」で復権狙うイギリス

米国の経済崩壊、ドル覇権体制の崩壊に備えて、英国の新たな世界戦略の一つが、かいま見えてきた。
それは、1944年のブレトンウッズ会議で英国代表のケインズが提案したが、米国の反対によって実現しなかった世界共通通貨(国際決済通貨)「バンコール」(bancor)の構想を復活させることである。

11月15日に米ワシントンDCで「第2ブレトンウッズ会議」の通称を冠されたG20サミット会議が開かれる。
この会議の発表されている主なテーマは、国際金融危機を繰り返さないための体制作りである。
この会議に対し、英ブラウン首相は10月初めから「ブレトンウッズ2が必要だ」と言い続けてきたが、1944年のきブレトンウッズ会議の主なテーマは、第二次大戦後の国際通貨体制の確立であり、金融制度ではない。

なぜ金融制度の会議に、通貨制度の会議の名前をつけるのかと私は疑問に思っていたが、どうやらブラウンは、ブレトンウッズ2会議(11月15日のG20会議、もしくはその後繰り返されるであろう同種の会議)で、IMFがドルに代わる新しい国際決済通貨を発行する「世界政府」的な「新世界秩序」を提案するつもりらしい。