米国は本当に変われるか?
変革への自信に全米が満ちあふれた11月4日夜。初の黒人大統領、バラク・フセイン・オバマの誕生という「歴史」に酔いしれた。
しかし、一夜のユーフォリア(陶酔)からさめたアメリカ人を待っていたのは、米国の象徴ともいえるゼネラル・モーターズ(GM)ともシティグループという、産業と金融の2大企業に襲いかかった経営危機だ。
「自動車産業は米国経済には不可欠の産業」と、オバマ次期大統領はGMへの積極的な支援をブッシュ大統領に要請している。仮に破綻ともなると、数万人の失業者が街にあふれ返る。
全米自動車労組(UAW)はオバマを勝利に導いた支援団体でもあり、雇用重視を政策の柱とする民主党として、GM危機に手を拱いているわけにはいかないだろう。
シティグループも株価は一時3・77ドル(11月21日終値)と4ドル割れに陥った。このため、ヘンリー・ポールソン財務長官は23日夜、シティに対し異例の措置に出たー。
資本注入の追加(10月の250億ドルに続き200億ドル)と、290億ドルを超える不良資産の追加損失について政府が90%負担するという。
シティの不良資産は3060億ドルといわれ、実質的な政府の不良資産買い取り策だ。税金による追加支援で公的管理の色彩も強まり、役員報酬や配当で経営の自由度も奪われる。
家電販売2位のサーキットシティをはじめ小売業界の倒産ラッシュに加えて。
崩れゆく米国経済
前年比45%減のGM奨励金の支払い遅延
最高の人材も獲得、次は国家を“経営”