肺水腫


◎血管から過度ににじみ出た漿液で、肺が水びたしになった状態をいいます。最終的には、呼吸不全または心不全におちいります。

【肺水腫とは】

 正常でも、肺の毛細血管壁からは少量の漿液(粘りけの低い液体)が血管外ににじみ出しているものです。この液はリンパ管などによって吸収されますが、このバランスがくずれると、肺の組織とくに肺胞内に水分がたまり、肺水腫となります。

 肺水腫は、さまざまな基礎疾患を原因として生じますが、もっとも多いのは心臓疾患からの発病です。病状は、慢性的に徐々に進行するものから、突発的におこって数時間で消失するもの、あるいは急激に発病して死にいたるという激しいタイプのものまでみられます。

【原因は】

 水分調節のバランスをくずす原因は、肺内のき血液量がふえて肺毛細血管の血圧が上昇し、肺胞壁や肺毛細血管内が障害され、液体が血管外にもれやすくなることがあげられます。

二つ以上の原因が重なったり、原因が解明されていないものがあります。また、水分バランスの異常をひきおこす基礎疾患はさまざまですが、よくみられるものは、心不全や弁膜症などの心臓疾患です。

【症状は】

 症状の出かたは、ふつう➀前駆(前ぶれ)期、?呼吸困難期、?肺胞内水腫期、?末期のき四段階に分けられます。

 前駆期には、脈拍の増加、血圧上昇、胸部圧迫感、不安感などといった、非特異的症状がみられます。

 呼吸困難期には、肺の間質の水分が増加するにつれて呼吸困難があらわれ(夜間にしばしば突発する)、努力呼吸(意識的に行う呼吸)をとるようになります。咳やチアノーゼもともないます。

 肺胞内水腫期は、水分が間質だけでなく肺胞内にもたまってくるもので、呼吸困難はいっそうひどくなります。いわゆる心臓性喘息の状態もみとめられます。

 大量のピンク色をした泡沫状の痰あるいは喀血も、この時期以降の特徴です。皮膚は蒼白で冷たく湿りけを帯び、脈拍にも乱れがあらわれます。

 末期になると、もう呼吸困難を訴える体力もありません。意識はもうろうとし、心不全、あるいは呼吸不全で死にいたります。

 このような経過が急速に進行して、短時間のうちに死亡する場合もありますが、多くは徐々に慢性的に経過します。

適切な治療で、数日のうちに回復することもあります。また、基礎疾患による症状も考慮します。

肺胞、肺の間質組織にEg入れ、水液、泡沫痰ぬく。

原因となる病気を個々に治す。