大前氏…95%

 当時、世界に行き場のない約6000兆円のホームレス・マネーが、少しでも高いリターンを求めて徘徊していた(金融危機によって、現在はそのうちの半分が失われている)。

この莫大なホームレス・マネーの出自は、世界の先進国だ。高齢化が進んだ先進国は、どこもお金があり余っている。どの国も自国内には十分な投資機会がなかったのだ。

 先進諸国でだぶついたお金は、より投資機会のあるところを求めて国外に出て行く(あるいは外国の金融商品を買う)。そういう投資機会はどこにあるのか?

      世界最大の金融商品=不動産に着目

 ところが、あまりにも彼らが世界の一等地を貪欲に買い漁ったため、めぼしい不動産はみな高騰してしまい、大きな売買益が得られそうな物件はほとんど見当たらなくなった。

 そこで、ホームレス・マネーを運用している人たちは、こうなったらリアルなものはもういい、リアルでないものを考えよう、となった。

その創意工夫から生まれたものの一つが、サブプライムローンを小口債券化して組み込んだ新手の金融商品である。

 買う物がなくて困っていた投資家が殺到

 それが世界の金融市場を揺るがすことになったのは、サブプライムローンは収入から見た

ら本来貸してはいけない人たちに、平均12%ぐらいの高金利で貸し付けて住宅を買わせる

という、あこぎなローンだったからである。

 平均12%の金利は非常に魅力があったため、それに目をつけたウォール街の証券マンたちがサブプライムローンを何千、何万と束ね、そこからREIT(不動産投資信託)のような小口債券化した商品を作り出した。

      政府による“特別背任”ではないか

 さらに救済策には、アメリカ政府がシティに別途200億ドルを資本注入することも盛り込まれた。

これまたおかしい。政府は08年10月にもシティに250億ドルを資本注入したばかりで、合計450億ドルも資本注入しながら、転換権(普通株に転換する権利)がないのである。

 本来、アメリカ政府が注ぎ込んだ金額からすると、シティ株の支配権は50%以上に達していなければならないのに、政府が持ち得るシティ株は全体の4.5%が上限と定められている。

納税者から見たら、公的資金を何のために注入したのか、政府がシティの経営に対してどのように実験を行使していくのか、全く不明なのである。

   「すべてのアメリカ人よ、今の2倍働け」

   「地球破壊者との戦争」こそ“新たな冷戦”

 アメリカに対する復活の条件

?世界に対して謝る

?世界の一員になる

?戦争と訣別する

 オバマが最初にやるべき「二つの謝罪」
        世界に対して謝る
 一つは、9.11に対する反応としてのアフガニスタン攻撃、そしてイラクの占領である。とくにイラクに関しては、自分で一方的にサダム・フセインを倒すと決めておきながら、世界の国々を巻き込もうとした。

 もう一つの謝罪は、金融危機に関するものである。

ウォール街発の金融危機」によって、2008年9月から12月までに失われた世界の富は、3000兆円と計算されている。

これは9.11で崩壊したワールド・トレード・センターの建築コスト(5000億円)の実に6000倍である。言い換えれば、4か月の間、毎日50棟分のワールド・トレード・センターが崩壊するほどの被害を世界中に、“輸出”したことになる。

人命がどれだけ失われたかは定かでないが、お金の計算だけすれば、そういうことになる。

          大前提案
? 1000兆円規模の世界的な流動性提供機構の創設

? IMFに代わる世界的な為替防衛システムの構築

? 世界に流通する金融商品の品質保証認定機関の設立

 国連に代わる新世界構想が必要

世界の一員になる