女性の心臓発作
深刻な狭心症を引き起こす原因としてよく知られているのは、冠動脈の閉塞だ。
冠動脈とは、心臓の表面を流れる太い動脈のことで、心臓に栄養を供給する役割を持つ。
この冠動脈が動脈硬化を引き起こして内部が狭くなり、血液が十分に流れなくなると、狭心症が引き起こされる。
この冠動脈の狭心症に注意が必要なのは、男女問わず間違いない。しかし問題は、女性の場合、これ以外にも、狭心症を引き起こす原因があったということだ。
微小血管による狭心症である。微小血管とは、心臓の筋肉の中を無数に走っている直径0.3ミリ以下の細い血管のこと。
女性の場合、この細い血管が何らかの理由で狭くなり、血液が十分に流れなくなることで、狭心症を引き起こすケースがあったのだ。
なぜ多くの医師が、微小血管の危険を疑わなかったのだろうか。かつてアメリカでは、死亡者数が、男性のほうが多かったため、心臓病は男性の病気と考えられていた。
心臓病の研究が男性のみを対象に行われ、その結果がそのまま女性にも当てはめられてきたという。
マーズ医師によれば、アメリカで200万〜300万人の女性が、正しく診断されないまま亡くなったと推定される。