グリーンスパン

     断頭台に送られるグリーンスパン 

全米でバブル崩壊の責任者として、ようやく今にして痛烈な批判を浴びているのが、アラン・グリーンスパンです。

 一九八七年から二○○六年まで十八年以上も中央銀行である連邦準備制度理事会FRB)議長をつとめ、リーマン・ブラザーズのCEOリチャード・ファルドたちと組んで、

このような金融システムの腐敗を放任し、グラス・スティーガル法を骨抜きにした男、グリーンスパンこそ、最大の責任者であることに間違いはないでしょう。

現在のヘッジファンドはおよそ一万を数え、政府当局からほとんど規制されないまま、全世界で事業を展開しています。

 アメリカ不動産市場の大崩壊は、ファニー・メイ、フレディー・マックの崩壊と共に、私には分っていました。

  原油価格の暴騰後に、やがてくる五○ドル割れの暴落も分っていました。ところがウォール街の“強欲”企業リーマン・ブラザーズが、経済誌“フォーチュン”では、二○○七年の「最も賞譛されるべき証券会社として「証券会社」の第一位にランクされていました。

 リーマンと同時に破綻して国有化された世界最大の保険会社AIGも、経済誌“フォーブス”では、二○○七年の「優良保険会社」として第一位にランクされていました。

 しかしAIGは、二○○五年に会計不正が発覚して五億ドルの架空の損失引当金による粉飾決算と、保険・証券法違反の容疑でSECに摘発されていたのです。
 
 “フォーブス”富豪ランクの常連で、個人資産で三○○○億円を超えるCEOのモーリス・グリーンバーグが起訴されていたのではなかったのですか。

 そのAIGに救済資金が投入されるというのは、どうしても道理に合いません。

 これら税金による救済がおこなわれた直後に、重役たちが温泉やゴルフ、ハンティングなどの豪華旅行を楽しんでいたことが発覚してアメリカ国民があきれかえったのに、十一月、十日にはFRB財務省AIGにまたもや救済資金の投入を発表し、総額が一五○○億ドル(一五兆円)に達しました。

この世には“国際殺人・泥棒クラブ”というものがある

 一体この泥棒クラブでは、ホワイトハウスと投機業界と、どこに境界線があるのかまったく分りません。

 さらに、偽者ブランド商品に高い格付けをしてきた格付け会社と、それらを売買する投資銀行を監査してきた大手会計事務所もまた、蜃気楼のマネーゲームを生み出す張本人でした。

 肥大した金融という化け物の手の中で、何も実体のないものが、先物取引デリバティブと呼ばれてきましたが、これは本来人間に必要な経済活動ではありません。

 CDSクレジット・デフォルト・スワップ)と称する取引が、リーマン・ショック後にようやく全米で金融崩壊の大きな震源地として指弾されました。

 それを日本語に意訳すれば、倒産時損害保証保険とでも言うべきもので、損害保険が次々

と別の人間に転売されて膨張したCDSは、一説に市場規模が六○○○兆円と言われます。

 通常の人間の感覚で追いつけない規模です。

 ところが実態は不明で、六○○○兆円の元はゼロなのです。

 資産のないところに巨額の金が動き、表面上、資産価値をとてつもなくふくらませてきた金融機関と投機屋たち―この蜃気楼を、オバマ新政権はどうするつもりなのでしょうか。

 問題となっているホワイトハウスと投機屋だけでなく、大手会計事務所、世界銀行

 国際通貨基金IMF、中央情報局CIA、連邦準備制度理事会FRB、証券取引委員会SEC、世界貿易機関WTO、コンピューターソフトメーカー、

 格付け会社エコノミストがすべて行ったり来たりの人材で構成されて、一心同体となっています。