ブッシュ大統領弾劾決議の動きを

報じない日本のメディア

天木直人のブログ

 日本人は米国人以上に米大統領選挙に関心を持っているという。

米国調査機関が世界24カ国で実施した世論調査の結果であると言う。この事を14日の産経が報じていた。

 なにしろ米国民の80%よりたかい83%だ。ドイツの56%、豪州の52%を大きく上回る突出ぶりだ。

 しかし、関心がある割には日本人は米国の本当の姿を知らない。メディアは正しく伝えようとしない。

 その典型例が6月11日に米国下院で可決されたブッシュ大統領弾劾決議の動きである。
 これはもの凄いニュースである。

 なにしろ下院議員(オハイオ選出デニス・クニシッチ・民主)がブッシュ大統領の弾劾決議案を提出し、下院本会議が、251対156という圧倒的多数で、それを司法委員会に送付することを可決したのだ。

 司法委員会がこの決議案をどうとりあつかうかは、米国政治の大きな政治的駆け引きとなるに違いない。

 だからブッシュ大統領が本当に弾劾されるかどうかはわからない。

 しかしこのような弾劾決議案が提出され、それを検討せよと下院本会議が判断した事事態が大きな事件であるのだ。

 しかも決議案に述べられている弾劾の理由がすさまじい。

イラクとの戦いを擁護する間違った論拠を捏造した」から始まって「イラクを米国に対する差し迫った脅威と思わせて国民、議会をミスリードした」「大量破壊兵器を所有したと信じ込ませた」「国連権憲章に違反して主権国家イラクを攻撃した」「イラクに米国の永久的な軍事基地を設立した」「捕虜を拷問した」「国民の税金を浪費した」などなど、およそイラク戦争に関してこれまでに明らかにされた不正、犯罪の数々を35項目にわたって弾劾の理由にあげているのだ。


 その中でも極めつけは弾劾理由の2番目に、9・11は不正に、組織的に犯罪的意図をもって実行されたと、内部犯罪説を匂わせている点である。

 中学校の教師が「9・11は内部犯行だったという説もある」と述べただけで新聞沙汰になると日本とは大違いだ。

 ところが、このような衝撃的な米国下院のブッシュ大統領弾劾決議が、日本の大手新聞やメディアで全くといっていいほど報道されていない。