ミツバチの大量死が物語る新たな「陰謀」

アインシュタインの予言」を知っているだろうか?―ミツバチがいなくなれば、わずか二年足らずで人類は滅ぶだろう。その予言が、今、現実のものとなりつつある。ミツバチの大量死が起こっているのだ。

二○○六年、アメリカの養蜂家から「ミツバチが巣箱から消えた」という報告があった。昨日まで巣箱にいたミツバチが、翌日、すっかり消え、空になった巣箱だけが残っている。

どんなに捜しても近くに死骸はなく、突然、数万匹のミツバチが消えてしまった。翌日から、また一つまた一つと巣箱からミツバチが消えていき、気がつけば億単位のミツバチがすべていなくなった…。

そんなスティーブン・キングのホラー小説のごとき出来事は、瞬く間にアメリカ全土に広がった。
翌二○○七年から二○○八年にかけ、全米の養蜂家のミツバチの、実に三六%、数にして推定数十億匹が「謎の失踪」を遂げ、ミツバチの受粉に頼っていたアメリカの農業は大きな打撃を受けることになった。

これをCCD(蜂群崩壊症候群)と呼ぶ。二○○七年、消えたミツバチの数に比例するように、殻物価格が急上昇したのだ。ミツバチのいた二○○六年の初めと比較して、世界の米の価格は二一七%上昇、三倍の値をつけたのを筆頭に、小麦は一三六%、トウモロコシは一二五%、大豆は一○七%まで価格が高騰、いずれも前年度に比べて二倍以上に値上がりした。
ミツバチが消え、食糧の値段が上がった。

偶然なのか。もちろん、そんなわけはない。これは仕組まれた「陰謀」だった。そう、ミツバチの大量死は、「見えない戦争」が始まった証拠だったのである。

「見えない戦争」で奪われた「食糧」と「水」

 カーギルは六六カ国に一五万人以上の従業員を持ち、年間売上高は九兆円にも上る。文字通りの「殻物メジャー」である。カーギル出身者が歴代政権の高官を務めるほど政治的影響力も強い。自前で人工衛星を打ち上げ、殻物生産地の情報収集をしていることでも知られている。

にもかかわらず、いまだ株式非公開の家族経営を行い、実態はあまり公開されていない。
 しかも、この食糧パニックでカーギルは史上最高の利益を上げていたのだ。彼らこそが、このパニックを引き起こした真犯人といいたくなる。

 新型殺虫剤から見えてくる怪しい企業群

 ミツバチの大量死は、研究者によっていくつかの説が出されているが、実はすでに答えがはっきりと出ているのだ。なぜなら、ミツバチの大量死の原因を、CCD(蜂群崩壊症候群)が起こる三年前の二○○三年、すでにEPA(アメリ環境保護庁)が把握しているからである。しかもEPAは、その「答え」をいまだ隠し続けている。それはいったい、何か?

 簡単である。一九九○年代に登場した新しい殺虫剤「ネオニコチノイド」である。

 犬や猫などのペットを飼っている人なら知っていると思うが、動物の首筋に数滴、垂らすだけで、三ヶ月、ノミやダニを寄せつけない薬である。
また、近頃では、夏にうっとうしい蚊の退治の際、蚊取り線香やベープマットを使わなくとも、シュッとひと吹きするだけで一晩中、蚊を退治してくれる便利な殺虫剤が発売されている。その成分が、ネオニコチノイドなのである。

 ネオニコチノイドは、従来の殺虫剤と違い、直接、虫を殺す成分ではない。虫の中枢神経を狂わせる効果を持っているのだ。そのためネオニコチノイドを微量にでも嗅いだ虫は、あっという間に泥酔状態に陥る。

 もうお分かりだろう。ミツバチが巣箱から大量に消えたのは、ネオニコチノイドを吸って、酪酊して方向感覚が狂い、巣箱ではなく、あさっての方向に飛んで、力尽きて死んでいたのだ。近くで死骸が発見されないのは、そのためである。

 ネオニコチノイド系の殺虫剤は、一般家庭のガーデニング向けから農業用に、広範囲に使用されている。ミツバチがいなくなるのも、ある意味、当然なのだ。