官僚支配と対米従属の行き詰まりを打破する秘策

 こんなに地方分権の必要性が取り沙汰される理由は、地方分権を推進すると、今までの日本で非常に強い権力を隠然と持っていた官僚機構を解体できるからだ。戦後の日本の官僚機構は、対米従属の国是を維持する機関として機能し「おみこし」的に自民党を担ぎつつ政府の事務局として位置することで、国家権力を握っていた。

 しかし今、官僚にとって真の「お上」である米英の覇権が崩壊過程にあり、官僚機構はあちこちで機能不全に陥っている。在日米軍はグアムに移転する気になっており、日本では防衛庁が省に昇格して防衛能力が向上しつつあるのに、いまだに日本政府は巨額の思いやり予算を無駄遣いで出してまで、何とか米軍を金でつって駐留してもらっている。

官僚が隠す沖縄海兵隊グアム全移転

 日本は経済が成熟し、円安より円高の方が望ましいのに、日銀や財務省は、ドルを守ることを優先して「デフレ」を重大視する歪曲策をやって円を弱めている。自民党政権の最後の3年間には、自滅的に赤字策が拡大され、民主党が政権をとって対米従属を離脱しようとする時には財政が破綻寸前になっているという、

対米従属派の最後っ屁的な策略も行われた。官僚機構の外縁部門であるマスコミも、米国の危機的状況や世界の多極化傾向についてはなるべく報じない一方、中国や小沢・鳩山をできるだけ悪いイメージで描くことに力を注いできた。

 マスコミのプロパガンダ機能を握っている官僚機構は、自分たちを無力化しようとする政治勢力を潰しにかかるので、かなり強い。しかし、日本はこのままではダメだと思う政治家は、官僚機構を大規模に解体再編しない限り日本は立ち直れないと、気づくようになった(今の状況で、そう思っていない政治家は、無能か官僚の傀儡か私利私欲派だ)。

 鳩山の民主党は、この手の人々を奮起させる誘導策を、すでに沖縄で「普天間基地問題」としてやって、成功している。民主党は、野党時代から「沖縄ビジョン」で普天間基地の県外・国外移転を求め、政権に就いた後は、県外・国外移転を基調政策としつつ鳩山が「沖縄の民意を重視する」と言って沖縄県民を扇動した。

鳩山が官僚とマスコミによる敵対策の中で動けなくなり、指導力が落ちた今では、沖縄のほとんどの人々が「普天間基地を県外(国外)に移転するまで戦う」という意志を持っている。

 沖縄県民を不可逆的にその気にさせた時点で、民主党の戦略は成功している。小沢にとって鳩山が「駒」だとしたら、鳩山政権が短命に終わってもかまわない。次の選挙で民主党が負けても、その次に出てきそうな政党の多くが「地方分権」「アジア重視」を掲げているのなら、敗北すらかまわないことになる。

小沢の戦略が失敗しうる最大の可能性は、ひょっとして米国の覇権が延命・復活し、日本で対米従属派が巻き返すころ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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