世論誘導

 世論誘導工作に巨費投入の全容を白日のもとに曝し出せ。なぜ大新聞・テレビは野中広務氏が暴露した「官房機密費」を追求できないのか。

 いつから大新聞・テレビは“世論調査屋”になったのだろう。全国紙の一面やニュースのトップを“今週の世論調査”が飾るなど、少なくとも先進国では異常な報道である。各紙・各局が徒党を組んで「政局」を動かそうと躍起になる一方で、肝心の「政治の闇」に斬り込む取材は皆無だ。

 なぜ「社会の木鐸」は沈没するのか。そこには長い歳月をかけて築き上げられた、政治と巨大メディアの「癒着の構造」がある。

 黙殺された「野中証言」「マスコミ対策費で餌付けされた飼い慣らされた政治記者偏向報道をタレ流している」

 官房機密費は、そうしてメディアと自民党政権との“潤滑油”に使われてきた。

 ある大手紙のベテラン自民党担当記者は、「官房長官や副長官などと懇談した後、お土産の菓子折に“奥さん靴でもプレゼントしてください”と大手靴店の商品券が入っていた」と語る。中には、時の官房長官から、「あんたらも大変だね。ご同業の方が、官邸に無心にきたよ」と打ち明けられた番記者もいる。

 官房機密費の甘い汁を吸い、政権の「道具」になることを受け入れたマスコミ人が、河村前長官の「機密費“持ち逃げ”問題」を追及できないのは当然だ。その「癒着構造」こそ、この国の政治をゆがめている病巣なのだ。