米軍はいつまで日韓に駐留するか田中宇氏

 今年5月末、韓国政府が米国にそそのかされて、3月末の天安艦沈没事件の犯人を北朝鮮だと断定する発表を行い、米韓と北朝鮮の対立が激化した。その影響で、韓国では、2012念に予定されていた有事の戦闘指揮権の米軍から韓国軍への委譲が、2017年もしくはそれ以降に先送りされることになった。日本では、2014年までに予定されていた沖縄駐留の在日米軍海兵隊のグアム移転が、普天間基地問題の滞りとグアム側の準備の遅れを理由に、2015年以降に先送りされる可能性が高まった。
 天安艦事件は、米韓が北朝鮮に濡れ衣をかけて非難するほど、濡れ衣をかけられた北朝鮮が起こって南北の対立状態が定着するという、冷戦やテロ戦争と同様の恒久対立の仕掛けを持っている

だから、対米従属を今後も続けたいと考えてきた日韓政府は、米韓が天安艦事件の北犯人説を出した時点で、日韓駐留米軍の撤退が大幅に延期されたと考え始めた。

 しかし、天安艦事件の濡れ衣構造は、意外と早くぐらつき出している。韓国政府が北犯人説を発表した10日後の6月2日に行われた韓国の地方選挙では、李明博大統領の与党ハンナラ党が意外に不振だった。
韓国政府は、北犯人説の方向で、マスコミを巻き込んで強い言論統制プロパガンダ戦略を展開した。
韓国の元軍人らがさかんに集会を開いて北朝鮮を非難し、集会の規模が大したものではないのに、マスコミはあたかもそれが韓国人の大多数の世論であるかのように報じた。

こうした言論統制は逆効果で、6月2日の韓国地方選挙は与党の敗北となった。