グローバル化感染症濱田氏 90%

 バリ島でデング熱に感染してくる日本人の増加もその一つです。2010年1月から8月までに確認された国内のデング熱患者54人のうち、バリ島からの帰国者がほぼ半数の26人、インドネシア全体からの帰国者が7割の37人を占めました。

デング熱は、日本に存在しないので、あまり知られていませんが、最近、タイ、フィリピン、ブラジルなど熱帯・亜熱帯地域でたいへん流行しています。
デングウイルスを保有する蚊に刺されることによって感染し、発熱と頭痛、全身の痛みで発症し、まれに大出血やショックをおこして死亡するという怖い病気です。

ノロウイルス感染症:日本でも海外でも流行。海外で感染する人も多い。
コレラ:発病者の大部分が海外で感染。
アメーバ赤痢ジアルジア症:海外感染が増えている。
デング熱チクングニヤ熱:海外で感染してくる例が増えている。

 日本を取り巻く多くの国々では多くの感染者が流行、蔓延しています。
感染症の病原体は、エボラウイルスのような猛毒ウイルスでも、結核のようなしぶとい細菌でも、人の体内で増殖し、子孫を増やす能力はもっていても、自力で人から人へうつる能力はもっていません。そのため人、動物の活動を利用してうつります。

 次にかかりやすいのはマラリアです。熱帯・亜熱帯地方に患者が数億人もいるうえ、病原体(マラリア原虫)を保有する蚊に一度刺されただけで感染するくらい感染力が強いので、かかりやすいのです。やはり蚊に刺されて感染するデング熱も同様です。

 先進国では減少したA型肝炎も、アジア、アフリカ、中南米などでは感染リスクの高い病気です。インフルエンザは、途上国に限らず、全世界で感染しやすい病気です。HIV感染症(AIDS)、B型肝炎は性交渉で感染する病気です。

 他にはコレラ赤痢、腸チフスサルモネラ症、カンピロバクター感染症ジアルジア症アメーバ赤痢クリプトスポリジウム症などがあります。いずれも途上国に多いのですが、サルモネラ症、カンピロバクター感染症などは先進国でもみられます。

 日本で4人に1人が感染!

結核こそ最大のグローバル感染症

 一方には結核が“高度に蔓延している国”があります。世界全体でみれば、結核は最大の感染症で、感染している人はおよそ20億人、3人に1人と推計されています。全世界で毎年900万人も発病し、160万人も死亡しているのです。

  新型インフルエンザの陰で猛威をふるった

ノロウイルス
 実はノロウイルス感染症が多発していました。ノロウイルス感染症は一年を通して発生しますが、冬季に多発します。

 ノロウイルス感染症は他の病気も含めて感染性胃腸炎として全国3000か所の医療機関から国に報告されます。感染性胃腸炎の報告数は年間100万人前後で3000か所の医療機関分でこの数ですから、全発生数はこの十数倍にのぼるかもしれません。

 感染源はイヌだけじゃない!

発病すれば100%死ぬ狂犬病

 インド:世界で最も狂犬病による死亡者が多く、年間約1万5000人。予防ワクチンの注射による治療を受ける人は年間100万人。イヌに咬まれての感染が90%以上も占めるが、サル、ウシ、ウマ、ネコ、ヤギ、ウサギなどもウイルスを保有している。

 中国:ペット、食用などで7500万頭異常のイヌが飼われているとされる。放し飼いが一般的で、多くの野犬も生息している。年間約2400人が狂犬病で死亡。近年都市部での発生が増加している。

 アメリカ:人への感染は年間数名。2008年、49州とプエルトリコで動物の狂犬病が6841例報告された。アライグマ_(34.9%)、コウモリ(26.4%)、スカンク(23.2%)、キツネ、ネコ、イヌの順に多かった。

       発病すると水や風を恐がる

 狂犬病狂犬病ウイルス(ラブドウイルス科リッサウイルス属)の感染によってひきおこされる病気です。このウイルスはすべての哺乳類に感染します。人は動物から感染します。人への感染源として最も多いのがイヌのため、狂犬病と名づけられていますが、ネコ、ハムスターなどのペット、コウモリ、アライグマなどの野生動物も感染源となります。

 蚊が媒介する熱病

マラリアは毎年100万の生命を奪う

 現在では有吉さんのように海外で感染したものだけです。それでも、日本では毎年50〜100例の発症があり、死亡者も出ています。
WHOの推計によると、マラリアは100か国以上で流行し、毎年3億〜5億人が感染し、100万人以上が死亡しています。結核、AIDSと並ぶ三大感染症の一つです。

 続々出現する恐怖の死病!

 悪魔が復活する―ペスト。14世紀にヨーロッパで流行し、黒死病として恐れられたペスト。

全身に内出血を生じ、黒いアザとなり、たちまち死亡することから“黒死病”と呼ばれました。当時のヨーロッパの人口の約3分の1、2000万〜3000万人が死亡したと推計されています。

 ペストは今も“限られた地域”で発生しています。ペスト菌はもともとネズミ類に感染する菌で、こうしたネズミの間で流行が続く地域が世界各地にあります。アフリカの山岳地帯と密林地帯、ヒマラヤ山脈周辺とそれに続く熱帯森林地帯、中国・モンゴルの草原地帯、アラビアからカスピ海南西部、北米南西部ロッキー山脈周辺、南米北西部アンデス山脈周辺・密林地帯などです。

・現実は映画より悲惨―エボラ出血熱・野ネズミからうつり、7〜8割が死ぬ―ラッサ熱・ダニに咬まれて死ぬ―クリミア・コンゴ出血熱・肺が水浸しになって半数が死ぬ―ハンタウイルス肺症候群

人社会への警告?ナゾ多き危険な感染症

・ブタも人も脳を侵される―ニパウイルス感染症・海を渡った鳥とウイルス―ウエストナイル熱(脳炎