日本称賛相次ぐ

「物資の奪い合いせず」「冷静な対応」「立派な備え」「笑顔と礼儀忘れない」

中国 

中国メディアは、非常事態にもかかわらず,社会秩序が保たれ、被災者らが救援物資を奪い合うことなく冷静に対応する様子を絶賛。インターネット上でも「中国人は日本人を見習うべきだ」という論調が目立っている。

 「日本人は災難に直面してもどうしてあんなに冷静なのか」。十三日付の中国紙・新京報は、避難所の被災者が大声で言い争うことなく秩序よく並び、弱者優先で助け合っていると紹介。同日付の中国紙・第一財経日報は「民衆の冷静さは“国家として最良のPR”になる」と伝えた。

 仙台市の被災地をルポした新華社通信の記者は「信号機が停電し交差点に警察官も立っていないのに、ドライバーは互いに譲り合い」、混乱は全くない」と驚きを隠さず、「そこからは再建の希望が見える」とつづった。

 一方で中国各紙は日本の防災意識の高さも評価。建築物の耐震を徹底していることや学校や職場で日常的に防災訓練を行っていることを紹介し、「国民に自助、共助、公助の意識が身についている」(第一財経日報)などとたたえ、中国も見習うべきだとしている。

抑制的な表現で報道

韓国

【ソウル=辻渕智之】韓国の聯合ニュースは十三日、日本の地震報道が恐怖感を与えない抑制的な表現で正確な速報を続けているとし、「揺れる画面にも声は沈着」「迅速、物静かな災難報道」と絶賛した。

 同ニュースは、日本メディアが「被害者のおびえた姿を強調する刺激的報道を避けた」と指摘。逆に韓国の一部ニュースが「沈む」「廃墟になった」などと日本の報道よりも興奮した表現や語調を使ったと批判した。

「日本の各放送会社はどこまで被災状況を見せるか、どんな表現まで使えるか細心な指針を用意している」との専門家の言葉も伝えた。さらに、テレビを受診できない被災者のためテレビ各社がインターネット生中継をし、非難所や食料品、水の入手方法など生活情報も詳細に提供していると高く評価した。

不屈、偉大な産業力
米国

【ニューヨーク=青柳知敏】十二日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは「不屈の日本」と題した社説を掲載。「母なる大地の急襲を切り抜けるため、日本人がどれほど立派に備えてきたかを指摘せずにはいられない」と、日本の地震対策をたたえた。

 社説は「日本を襲った規模の地震ではいかなる国も傷から逃れらない」とし、「その被害にもかかわらず、人口一億二千六百万人の島国が大地震に適切に対応している」と評価。
一八九一年の濃尾地震をきっかけに耐震建築を進めた経緯や、二〇〇七年導入の緊急地震速報などを紹介し、「他の地震国にも日本に似た警戒システムの開発、導入を期待する」と指摘した。

 一方、最近の日本の情勢について「経済成長の低迷や政治家の不手際が、高い生産性を誇る多くの国民を困惑させている」としながらも、「間違ってはならない。日本は今も偉大な産業力を有している」と強調した。

日本語で「がんばれ、東北」

【ロンドン=松井学】十三日付の英高級紙インディペンデント日曜版は一面全体を日の丸のデザインにし、中央に大きな日本語の見出しで「がんばれ、日本。がんばれ、東北。」とのメッセージを掲載、被災地への連帯感を示した。

 経済紙フィナンシャル・タイムズの週末版は、社説で日本は「称賛すべき落ち着きと不屈の精神で対応している」と評価。

論説欄では日本経済分析で定評があるピーター・タスカ氏が「日本は立ち直る力が強い国だ」と題し、「日本に対して楽観的になるのは(失われたといわれた)過去二十年を耐え抜いた社会資産があるからだ」と励まし、円高を乗り越える企業、困ったときの助け合い精神、高齢者でも元気な社会の潜在力をたたえた。