世界中で廃炉が進んでいる

放射性物質が漏れ出す危険性は廃炉後も残る

 「最大の問題点は、放射性廃棄物が残ることです。使用済み核燃料は、原子炉から取り出したあとも、放射性物質を出し続けます。


地中深くに、数万年という単位で埋めておかなければ、安全なレベルにはならない。大きな地震に見舞われ、埋設施設が損傷すれば、放射性物質が漏れ出すことも考えられます。
また、地下水によって保管容器が劣化し、放射性物質が漏れて、地中を汚染する危険性も否定できません。」

安全にできるかはやってみないと分からない

 海外で廃炉が完了した商業用原発は19基を数えるが、日本ではまだ例がない。現在、解体が進められているのは東海発電所茨城県)と、新型転換炉ふげん(福井県)だけだ。


 また、廃炉処理案が浮上している福島第一原発の場合は、さらなる困難が伴う。使用済み核燃料は、通常1〜2年の冷却を経て原子炉から取り出されるが、

福島では事故により、その作業だけでも、「10年かかる」(東京電力・榎本聰明顧問)と予測されているのだ。

見切り発車で原発を増やしたツケが回った

 一方、使用済み核燃料など、高レベル放射性廃棄物に関して、日本政府は、再処理をして新しい核燃料を造る構想を打ち出しているが、計画がうまく進んでいるとは言いがたい。

 再処理が行われないなら、最後は地中に埋めるしかないが、低レベルの廃棄物と違い、地価300m以上の深い場所に、数万年もの間、埋めておかなければならない。

しかし埋設場所は、日本はおろか、世界のどこにもまだ存在しない。