野田新政権と日本の閉塞戦略田中氏 90%

 こうした展開は、今の日本として自然なことだ。8月5日にS&Pが米国債を格下げしたが、米国債は下落せずむしろ上昇し、債券金融システムの力がまだ強いことが示された。

米国の金融財政システムは潜在的にかなり疲弊しているが、そのことは日本でほとんど指摘されておらず、日本では世論も政界関係者の多くも、米国の覇権の危うい状況に気づいていない。

そうした状況下で、小沢一郎の対米自立・アジア重視の路線を支持する人が少ないのは当然だ。

 日本と同様、国家の潜在力は強いのに対米従属を何十年も続けてきた欧州のドイツでも、メルケル首相が描くギリシャ救済策を通じたEU統合強化(欧州の自立)の戦略が、与党内でからすら「ヒステリー状態」的な猛反対を受け、議会をなかなか通らない状態になっている。

日本より早く、冷戦終結と同時に欧州統合・対米自立の戦略を開始したドイツでさえ、こんな状況なのだから、日本が対米従属に固執するのは当然といえる。