目先の市場大乱高下は人間社会の「大変化」の現れ!  増田氏 98%

 ラジオ時代がテレビ時代になり、馬車が自動車になり飛行機になったため生産性が向上し人々の所得が増え経済は成長を続けた。

 この傾向が頂点に達したのがニクソン米大統領がドルと金(ゴールド)の交換制を廃止した1971年までである。以後飛行機に変わる「空飛ぶタクシー」は発明されていない。経済停滞で世界の富が減り始めるや、ドルの保証を外し、一方脱工業主義に転じて価値の創造から脱し、潜在的不渡り通貨(ドル)で世界の富を財政破綻寸前まで買いまくってきたアメリカのしたたかさ! 

しかし、今やアメリカは価値を創ることも奪うことも出来なくなろうとしている。何時もの戦争効果も限界になってきた。 

植民地政策であれ、戦争、侵略政策であれ、金融イノベーションと言う名の合法的詐欺戦略であれ、回っているうちは楽観的でいられる。

経済停滞とは市場の主演であり、資金の市場からの撤退である。最早今までの資本主義の価値観で経済を見ることも運営することも出来なくなりつつある。

アメリカは「誰で億万長者になれる」、「不動産価格は上がり続け下がることはない」、「株価は土地と同様下がることはない」、「経済は何時までも成長し続ける」…と自信に満ちた「強いアメリカ」を演出したのであった。ニクソン・ショック後の日本では田中角栄首相が「列島改造論」(1972年)を打ちだし日本経済もアメリカ同様「土地神話」の基に不動産ブームになろうとしていた。

今後どう見ても、かつての自動車や飛行機に匹敵する発明(イノベーション)は期待できないから、特に先進国の持続的経済成長の望みはなくなった。

 今後、先進国は中国などの新興国の経済成長で支えられるとは言え、やがて新興国も先進国の運命に従う。今や世界経済の成長の歴史は終わったと見るべきである。

 人は何億円もする高級マンションを目指すことを止め、赤とんぼを肩に夕陽の中で自ら丹精して作った野菜を満足げに眺める自分を夢見るだろう。

 人は乱立する高層ビルのない自然の中で農民、モノ造り、商人たちが仲良く暮らす社会を想像し始めるだろう。

これから人類は、欲と言う名の重い荷物を背負って数千年かけて登りつめた頂上から今度は身軽になって下がり始める。 まだ世界が頂を目指している今、すでに日本は麓を目指して帰り支度をしている。何時の日か世界が「伊勢神宮詣」をする時が来るだろう。

 これからの政治、経済、文化、哲学は180度変わらねばならない。今はまだ人々に新しい世界の流れが見えないから世界の政治も経済も大混乱を起こしている。