未来をひらく「旧くて新しい」経済論

マネーゲームを一掃して、幸福への一歩を踏み出せ!原 丈人氏

金融資本主義の崩壊は必然だった

金融工学は「実験室の中」に帰れ 


ヘッジファンドによって、これまで均衡を保ってきた世界システムが、あちらこちらで崩されていたのが、まさに金融危機直前までの状況であった。崩れたのち、また均衡化することは確かではあるが、それまでのあいだの不安定期は、一般の人びとの生活に計り知れない打撃を与える。

 儲けたのはヘッジファンドの投資家だけ。それもゼロサムゲームだから、儲けた人のぶんだけ損した人がいる。なおかつ実体経済においては、いま述べたように石油や食糧など、あらゆる天然資源のバランスが崩される。これは世界にとってたいへんなマイナスである。

 金融資本主義的なあり方は、もはや根本的に見直さなければならない。先ほど述べた「ポスト金融資本主義」の新秩序を構築し、「ポストコンピュータ」の基幹産業を打ち立てていかなければならない。

これは日本こそが、世界に先駆けて取り組むべき課題であろう。まさに日本が未来をつくっていくべきときなのである。

世界でいちばん税率が低い国へ

 日本が次なる基幹産業で中心的役割を担い、世界の経済を牽引するような産業をつくりだす企業群が日本で生まれるようになれば、それらの企業群からの法人税がどんどん入ることになる。法人税がどんどん増えていけば、税率を減らしても税収の総額が増えるような流れをつくることができるだろう。

 私はかねてより、二〇二〇年ごろまでに、法人税、住民税、消費税、個人所得税贈与税相続税などすべてにわたって、税率を先進国中もっとも低くすることを国の政策として掲げるべきだと呼びかけてきた。

世の中への貢献こそが価値
「公益資本主義」

 「会社の事業を通じて、公益に貢献すること」――つまり、「会社の事業を通じて、会社が関係する経営者、従業員、仕入れ先、顧客、株主、地域社会、環境、そして地球全体に貢献すること」こそが価値として認められる資本主義を実現したい、ということである。

創造性・幸福感・柔軟性のある会社