北朝鮮の中国属国化で転換する東アジア安保田中 宇氏 85%

 昨年12月17日に金正日氏が死去し、北朝鮮は不安定な政権移譲期に入ったとされる。若造の金正恩が主導権を発揮しようと無茶して韓国に戦争を仕掛けるとか、12月30日に喪が明けた後が危ないといった予測報道も見た。しかし年が明けても、北朝鮮をめぐる事態は今のところ不安定になっていない。

 韓国の李明博大統領が、年頭のテレビ演説の中で北に対話を呼びかけた。すると北は、李明博を「親米でファシストで凶暴な悪の頭目」と呼び、李明博とは決して交渉しない方針を、北の最高意思決定機関である国防委員会が発表した。こうした事態からは、金正日の死後、朝鮮半島がかなり不安定になっているようにも見える。

米国が北を中国に押しつけた 

張成沢金敬姫は、北朝鮮を中国の指導に沿って、中国型の社会主義市場経済の体制にしていくことを目標にしている。彼らを摂政役として金正恩の政権が続く限り、北朝鮮は中国の傘下で動き続ける。

中国は、北朝鮮が輸入するエネルギーの90%、食料の45%を供給している。中国は、北朝鮮が対中貿易で未払いを増やしても、北の中枢が中国式の経済政策を採っている限り、北との貿易を切らない。

逆に、金正恩張成沢らを失脚させている中国の言うことを聞かなくなると、エネルギーや食料の輸出を静かに止め、北を制裁するだろう。北朝鮮は、中国の属国になっている。

中国製品 

中国は日本に対してだけでなく、米国に対しても、米国債の世界最大の保有国であるなど、経済面で対米優位に立っている。

また中国製品は、世界的に人々の消費生活に不可欠になっている。日本国内で売る製品も、コンビニ商品やユニクロからIフォンまで、中国製がこの10年前後で急増した。

中国は脅威だと声高に言う人も、ユニクロを着てIフォンを持ち、コンビニで買い物している限り、中国から乳離れできず、しかも自分でそれに気づいていない。