医者?中村仁一氏 95%

医者にとって年寄りは大事な「飯の種」

「早期発見の不幸」「手遅れの幸せ」
「がん検診」は必要か 

「がん検診」は身体によくないと、定年退職を機に“検診断ち”をして、晴れ晴れとした気分で過ごしている知り合いが何人もいます。

➀検診によって100%がんがみつかるわけではないこと。どんなに優れた検査でも精度が100%ということはない。病気になる個々人には差があり、したがって、がんであるにもかかわらず、見逃しはある確率で存在すること

?過剰診断により、過剰な検査や治療を招くことがある。その結果、医療費の過剰な負担をもたらす可能性があること。

がんは完全放置すれば痛まない
死ぬのはがんに限る

食べないから死ぬのではない、「死に時」が来たから食べないのだ 

人間は、生きていくためには飲み食いしなくてはなりません。これは、あたりまえのことです。ところが、生命力が衰えてくると、その必要性がなくなるのです。

 「飢餓」では、脳内にモルヒネ様物質が分泌され、いい気持ちになって、幸せムードに満たされるといいます。
 また「脱水」は、血液が濃く煮詰まることで、意識レベルが下がって、ぼんやりとした状態になります。

解熱剤で熱を下げると、治りは遅れる

 私の好きな学説に、「治療の根本は、自然治癒力を助長し、強化することにある」という「治療の四原則」があります。

一、自然治癒の過程を妨げぬこと
二、自然治癒を妨げているものを除くこと
三、自然治癒力が衰えている時は、それを賦活すること
四、自然治癒力が過剰である時には、それを適度に弱めること
 

かって、四半世紀以上も前にアメリカ合衆国の権威ある学術専門誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の編集長、インゲルハイム氏が、「病気の80%は医者にかかる必要がない、かかった方がいいのが10%強、かかったために悪い結果になったのが10%弱」といいました。

 だいたい、日本人は医者にかかりやすいとはいえ、あまりにホイホイと病院へ行き過ぎるのです。元来、病院は「狭い」「臭い」「暗い」もの。最近は建て替えられて外観はきれいになり、かなり解決されました。しかし、依然として「汚い」「危ない」「恐ろしい」ところであることには変わりはありません。

 だから、軽い病気で病院に行って、重い病気をお土産にもらって帰る可能性は充分にあるのです。

 それゆえ、本来、病院は“いのちがけ”で行くところなのです。

医療が“穏やかな死”を邪魔している
一、死にゆく自然の過程を邪魔しない
一、死にゆく人間に無用の苦痛を与えてはならない