世界経済 

世界経済は21世紀の今もなおアメリカ主導であることに変わりはない。

 例え中国等新興国の成長率が7−10%と高くても、新興国経済は依然として外需依存(先進国需要)であることに変わりはない。

 輸出に頼る中国経済アメリカとヨーロッパの景気に左右されるのは当然である。

 アメリカは99%の国民と世界を騙し続けながら「世界の損はアメリカの利益」という原則を貫き続ける欺瞞の上に存在する国である。 

就職活動をしている数は当然失業者数だが、アメリカは就職活動を断念したり、就職の意思のない数は失業者数に数えないと言う1994年の認定を採用している。

 アメリカ政府の規定上失業者とは呼べないが、労働市場に参加出来ない人口はここ30年間増加の一途で2000−2011年の11年間で実に1,790万人も増えている。

 働き盛りの16−54歳の労働参加率は2001年には80%だったのが2011年にはわずか33.5%にまで落ち込み、逆に55歳以上の高齢者の参加率は2001年33%だったのが2011年には41.5%に増えてきている。


 高齢者を支えなくてはならない働き盛りの層の失業率が増えて支えきれないので高齢者が働かなくてはならなくなっている。

 GM車が飛ぶように売れているのはGE Capital(ゼネラル・モーターズ傘下のアメリカ最大のナンバンク)のオート・ローン(自動車ローン)に負うところが大きい。

 アメリカの3大信用会社の一つExperian社によると今日行われているオート・ローンの45%はサブプライム・バロワー(信用低い借り手)である。

 今が実体経済からかけ離れた世界的株高現象なのである。

 先進各国の金融緩和で株価が上がり、ギリシャ国債デフォルト問題の一応の決着でギリシャを含むEU圏の国債価格が上がりかつ利回りが下がってきたことも市場に欧州債務問題の安心感を与えた。

 すでにデフォルトしているギリシャ国債を救った理由は債務危機感がイタリア、ポルトガル、スペインに及ぶのを防ぐためである。

 本音を言えば、イタリア、ポルトガル、スペインの国債も事実上デフォルトに陥っているのである。
 欧州債務問題は終わったのではなく、これから始まるのだと考えた方が正しいのではないだろうか。

 ではユーロ通貨体制で利益を得たのは誰だろうか。

 17カ国中最も生産性が高く国際競走力が高いのは第一にドイツ、第二にフランスである。

 ドイツとフランスを除く15カ国は経済において到底ドイツとフランスと競争出来ない。

 経済において競争できない15カ国をユーロ共通通貨体制に巻き込むことに成功出来た理由は二つある。
 一つはドイツとフランス側にある。

 それは競争力に劣る15カ国にドイツやフランス並みの強い通貨を与えれば15カ国は与えられた分不相応な強い通貨(ユーロ)で国内より優れた品質のドイツやフランスの商品を買うことになるからドイツ、フランスにとっては内需を上回る外需となり経常黒字化と経済成長を支えることになる。


 15カ国は生産性を上げ、経常黒字にして債務を押さえて国際競走力を付ける努力をするより、強い通貨を持つことで努力することなくドイツやフランス並みの国になれるという誘惑に負けたのである。

 だからギリシャでもそうであったように、ユーロ体制加盟の条件である債務のGDP比3%のハードルをクリアするため粉飾決算までしたのである。

 したがって15カ国は共通して財政赤字、経常赤字、債務過剰に陥る結果となったのである。

 ユーロ体制が確立された1999年から2009年5月の事実上ギリシャ国債デフォルト(債務不履行)に至るまでの間にドイツとフランスはユーロ体制のメリットを利用した15カ国を犠牲に第二次大戦で失った資産を総て取り戻したのである。

 アメリカはドイツとフランスが生き馬の目を抜いたその目を横取りしようと決めたからである。
 それがアメリカのアメリカたるところである。
 どういうことか説明しよう。

 ドイツとフランスは15カ国から取れるモノは総て取った後、欧州債務危機で15カ国を財政破綻寸前に追い込み、15カ国に経済主権を放棄させ欧州帝国に統合しようとしている。 

それはギリシャに止まらず今後欧州債務危機はイタリア、スペイン、ポルトガルに伝搬するのは始めから決まっているため、欧州の金融機関はECB(欧州中央銀行)からの50兆円規模の特別融資を受けると、その資金を使って欧州債券からアメリカ債券にシフトし始めたのである。

 つまりドイツとフランスがせっかく取り戻したお宝を総てアメリカに取り上げられようとしているのである。
 EU金融資産がアメリカ資産にシフトし始めてから終わるまでドル高が続くことになる。

 ユーロ価格上昇に誘導し、世界の資金にユーロを買わせながら増大するユーロ資産をアメリカ資産にシフトする。これがアメリカ主導の現在の金融市場のトレンドである。

FRBの騙しは成功するか
 先ずはアメリカとは何かという認識を明確にする必要がある。

 要するに世界中から有能な人材やマネーを集めて競争する場を与えて楽しませた後、参加者(投資家)は胴元(アメリカ)に身ぐるみ剥がされるのがアメリカである。

 アメリカが計画して実行して、ここまで進んできたマネー・バブルを崩壊に導き世界経済を再び不況のドン底に陥れておいてから中東戦争を仕掛けることになる。

 刻々とイスラエルのイラン攻撃の準備が進んでいる事実はアメリカがやがてバブル崩壊を仕掛けてくる何よりの証明である。

 日本の貿易赤字は定着するが、所得収支(海外からの受取利息や配当収益)は増加を続け、日本は従来の貿易立国から直接投資立国になる。 日本は円高が望ましい経済構造に変化しつつある。

???//・・・増田氏90%