HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)

HTLV−1は、母乳を介して母子感染するウイルスです。母子感染を予防するために、平成22年の秋から妊婦健診の検査項目にもなっています。

HTLV−1?

今回HTLV−1に感染していることを初めてお知りになられたことと思います。世の中にはたくさんのウイルスが存在し、身近なところではインフルエンザや肝炎もウイルスによるものですがHTLV−1も古くから存在しているウイルスの一つです。このウイルスに感染したからと言って関連疾患を発病するとは限りません

このウイルスは、古くから人類と共存してきたもので、主にヒトの白血球(リンパ球)に感染するウイルスの一つです。

日本では九州を含む西日本に感染者が多いことが分かっています。

HTLV−1のキャリアとは
HTLV−1はレトロウイルスと言う種類のウイルスで、細胞に感染するとその中の遺伝子に入り込み、細胞とともに生き続けます。

感染について

HTLV−1の感染経路、HTLV−1の感染はキャリアからの生きたリンパ球が体内に入ることで起こります。感染経路としては、以下の三つがあります。

母子( 母乳) 感染について

母子感染は母乳のリンパ球による感染が大部分です。

疾患について
HTLV−1関連疾患

HTLV−1感染に伴って起こる可能性のある疾患は以下の通りです。

1.成人T 細胞白血病・リンパ腫(ATL):リンパ球の一種(T 細胞)が腫瘍化する疾患
2.HAM:(ハム:歩行障害や排尿障害を引き起こす脊ずい  疾患)
3.ぶどう膜炎(眼球内のぶどう膜の炎症)
4.その他


ATLの症状

ATLでは主に次のような症状がでます。

1.痛みを伴わないリンパ節の腫れ
2. 治りにくい皮膚病変(皮疹)
40歳以上のキャリアの方でこのような症状がある方は最寄りの医療機関(血液内科のある病院)への受診が必要です。

HAMの症状

HAMでは以下のような症状がでます。
1.排尿、排便障害 2.歩行障害 3.下肢の持続性の脱力

HUとは?


 HUとは、HTLV−1関連ぶどう膜炎で、HTLV−1感染が原因となって眼ぶどう膜に炎症が起こる病気です。ぶどう膜炎はHTLV−1以外のウイルスや細菌、真菌、寄生虫などによっても起こる病気ですので、HTLV−1はぶどう膜炎のたくさんある原因のうちの1 つとなります。

HUの初期症状は?

 HUの初期症状として以下の項目があげられます。

・眼の前に虫やゴミが飛んでいるようにみえる(飛蚊症
・かすんで見える(霧視)
・眼の充血
・視力の低下