なぜ日本経済は世界最強と言われるのかぐっちーさん 

フーチ 90%

 日本救世主論 

 ヒュンダイの自動車がたくさん走っていたり、サムソンのテレビがたくさん売れていたりするのはアメリカでもそうなのです。で、NHKの特派員はそのことばかり報道する。「あんたさ、友達いないの?」と聞きたくなるわけですね、わたくしは。

 しかし、ではその部品(なくてはならないコア・パーツ)は誰が作っているのか。あるいはその製品を作るための工作機械は誰が作っているのか。

 単純に考えればわかることですが、それは日本しかないのです。それも恐ろしいことに高品質になればなるほど日本製品や日本の工作機械の介入率が高くなる。

 GMが急回復した背景には日本製工作機械の大幅導入があったという事実もアメリカではよく知られていますし、労働賃金が急騰している中国で製品を作っているアメリカの多国籍企業ジョンソン・エンド・ジョンソンであるとか、ナイキとかです)がいまなにをやろうとしているか…というと、

 なんと日本製の製造ロボットの導入を大幅に推進する(それも中国でですよ)という状況に今日なっているわけです。これ、普通にアメリカにいたらわかることばかりです。 

 一方、アメリカでは日本こそが世界を救うという「救世主論」が主流といっても過言ではありません。クルーグマン先生が、「アメリカの経済学者は日本に謝るべきだ」といったのはその通りなのです(ワシントンポスト紙で「アメリカの経済学者は天皇陛下に謝るべきだ」と発言)。

 なぜ、日本にだけ100年以上続いている会社がこれだけあるのか?ということも最近アメリカでは研究され始めていて、まさに、この信用創造にかける時間が大幅に長いというのが特徴だということに彼らは気がつき始めています。
     円高は日本がオンリーワンである証 

 さて、円高。結局当面は円なんでしょうねえ…。世界で唯一国内だけで借金が賄えて、きちんと中央銀行が機能している国…日本しかないのです。そりゃー、円高ですわ。

 もう1つ通貨の価値について。アメリカドルをいまひとつ捨て切れないのは、もちろんあの軍事力が根底にあります。なにかあったら絶対に軍隊を投入してその価値を守るでしょう。ニューヨーク預金を置いておく安全性はそういうことです。アメリカの財産はアメリカが守るということです。

 サラリーマンの所得は過去15年間右肩下がりです。しかし、史上最長のいざなみ景気を経験しているのもまたこの期間です。輸出は絶好調で史上最高の80兆円を超え(バブル期でさえ40兆円)、外貨準備も1兆ドルを超え、稼ぎに稼いだ結果が明確に出ています。そしてこの期間は明らかに円高です。

 円高で輸出が減るという話と矛盾してませんか?円高で輸出競争力を失い中国や韓国に抜かれてしまい、日本経済は壊滅するという話はどうなったのでしょうか?なのにこの水準になってもいまだに日本は両国に対し貿易黒字なのはなぜなんでyそうか?(中国は香港も含む)

 そしてこれらのいざなみ景気と呼ばれた輸出の増加により、原因はどうであれ皆さまの経済状態、つまりお給料が1銭でも上がったことがありますか??

 答えは明確でノー。なぜなら日本経済は輸出依存率がわずか15%しかない「超内需国」だからです。残りの85%の内需が活性化しない限り皆さまのお給料は上がりません。

 円安になって儲かるのはせいぜいこのGDPの15%を生産する輸出企業のみであり、そのほか85%を生産する皆さまにはなんのメリットもありません。輸入物価が上がり、海外での購買力が減り、当然インフレになり金利が上がり、住宅ローン金利も上がり…いまアメリカがそうなりかけていますが…なにもいいことがないのです。

 いやいやその輸出企業に支えられている中小企業が日本にたくさんあって…という議論もよく聞きます。

 しかし、1ドル79円75銭の最高値をつけたのは1995年、はるか昔です。そのときにすでに残るか、出るか、中小企業も含め決断を迫られています。

 多少コストが高くても技術に地震のある企業は国内に残ったし、そうでない企業は大企業とともに海外移転をしました。私自身がそういう企業のお世話をするのが本業ですから、間違いありません。移転すべきところはとっくに移転していて、その結果いまがある。輸出依存率はG20でアメリカ、ブラジル、インドに次いで低いという事実です。

 何度もいいますが通貨高で潰れた国はローマ帝国以来ひとつもありません。ローマ帝国にしても通貨安で国が滅亡し、近年のアルゼンチン、ロシア、韓国に至るまで、通貨安が致命傷になって国が倒産するのです。

 日本は戦後高度成長期を含めて輸出依存度15%程度が目一杯の「内需国」だというデータがそこかしこにあるのに、その反証に目をつぶり、「日本は輸出立国だ。輸出で稼がなければ国がどうかなってしまう」という。

 日本は輸出立国でもなく世界最大に近い内需大国なのです(実は輸入も入れた貿易依存率で見ますと、やはり日本はイメージと異なり「貿易小国」なのです。 

 格付け機関は実際にはたくさんあるのですが、世界的標準(デファクトスタンダード)として認められているのはスタンダード・アンド・プアーズ社、フィッチ社、そしてムーディーズ社の3社です。

 これらの格付けは具体的にはそれぞれアルファベット表示をしていて、各社表示方法は微妙に異なるのですが、いずれもよいほうからA、B、C、Dが基本構造。さらにそのなかを3つに分割して最上級からAAA、AA、ABBB、BB、B…と下げていきます。

 ただ、いまとは異なり、財務省は2002年4月26日、日本を格下げした格付け機関3社に対して異例の「意見書」を黒田財務官名で送付しています。

「日本は世界最大の貯蓄過剰国であり、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている。また、日本は世界最大の経常黒字国であり、外貨準備も世界最大である」「日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとしていかなる事態を想定しているのか」として猛反撃したわけです。

 さて、ここからが問題です。この文書を見ていかがですか?現在で修正が必要なところは外貨準備が世界最大ではない点のみですが、それは日本の外貨準備が減少して2位になったわけではなく、中国が日本を抜き去っていき、日本の外貨準備は当時からすれば減少するどころか約2倍になっているのであり、なにひとつ変わっていない…のです。そして「先進国においては自国通貨建ての国債デフォルトはない!」と宣言しているのがほかならぬ財務省自身なのです。

 財務省がもし財政危機、日本がギリシャ並みというのであれば、まず自らが出したこの黒田財務官発言を「間違ってました。ごめんなさい」と引っ込めるところから始めねばなりません。

 当時と多く状況が変わっていないにもかかわらず、突然「財政破綻する恐れがあります。消費税上げます」というのでは自己矛盾もいいところです。当時、自国通貨建て国債でデフォルトはあり得ないとした財務省が、今度は「増税しないとデフォルトするかもしれない」と国民を恫喝しているのです。

国民は財務省がこの発言をどう扱うのか、常に疑問を突きつけていく必要がありますね。

     日本の銀行に、そして日銀に勝てるヘッジファンドなど存在しない 

 レバレッジのかからないヘッジファンドなど「張り子の虎」でしかありません。金融機関はリーマンショック後に彼らから融資を引き上げ、所謂ダイレクションタイプのヘッジファンドはそれこそはほとんどクリーンアップされてしまいました。

 2008年までヘッジファンドが恐ろしい存在だったのは、彼らが100億円の資金を持っていた場合にそれをエクイティーとしてCDOを組成し、銀行がシニア債券と称してあっという間に1000億円ぐらい、場合によっては5000億円ぐらいを融資したからです。それを例えば東証の証拠金に突っ込んでショートするって話があり得たのです。

政府債務のGDP比は、本当はアメリカより低い 

 よく日本の政府債務がGDPに比べて180%という数字が躍りますが、これも財務省によるかなり高度な洗脳です。世界的には、まずその債務から資産を引かねばならない。政府が持っている道路、橋などさまざまな資産価値がゼロというならそれでいいのですが、元来これをゼロに評価するなら、価値がないものを営々と作り続けてきた政治家、財務省の役人は全員クビになってしまうでしょう(笑)。

 価値はあるのです。それを差し引いて債務比率を出すというのが世界的標準なのに、なぜか日本だけ資産をゼロにして評価しています。それは意図的にやっているとしか思えませんよね。

 さらにいえば政府債務だけではだめで、民間債務(特に対外債務)を計算する必要があります。アメリカのように金融機関まで借金漬けになっている国ですと、政府と民間債務合計で見ると財政赤字はGDP比300%になってしまいます。

 ご存じの通り日本は民間債務を全部政府が肩代わりしたような体質になっていますので、合計で比べれば180%は低いほう、さらに資産を計上すればあっという間に小さい数字になってしまう…だからGDP比の債務比率を使うのはおかしい…といつも書いているわけでして、大事なのは全体の数字なのです。