日米外交の真髄岩本沙弓氏

執筆する際、米公文書館の資料を利用しています。
というのも、やはり本物の公式文書には揺るぎない事実がしたためられているわけであり、これ以上歴史的価値のある、そして正確な材料はないと考えているからです。

米国側は日本に敬意を払いつつも、外交交渉については完全に米国の裁量下で行うという姿勢を貫いています。

日本がこれまで、各国との個別交渉に及び腰というのは、こうした背景があるからではないでしょうか。

最後に一言だけ現在の経済問題と関わる点について。

米国では、消費税を社会保障費を捻出するための税制とは考えていません。

あくまでも関税以外で貿易を制限する非関税障壁という扱いです。

消費税を採用している国は、自国の輸出製品には還付金を渡し、輸入品に一方的に課税する不公平な制度であるので、米国は消費税を採用していません。

早くから20%近くの消費税を採用した欧州とは数十年、消費税の扱いで熾烈な通商交渉を繰り返しています。

日本は米国に気を遣っていたからこそ、消費税の導入が遅く、税率も極めて低い5%であったわけで、今後の消費税の引上げは、実は日米関係を冷え込ませる結果となるのではないか、そうした懸念も公文書を読んでいると頭をよぎるのです