空気より深刻な水質汚染環境悪化に高まる不安
中国で、環境汚染に抗議するデモが頻発している。PM2.5をキーワードに、大気汚染のひどさは日本でも知られるようになった。さらに深刻なのは水質汚染で、水資源が乏しい中国には重大な脅威。市民の危機感も高まる。

人命救助した警官が汚水のため危篤に陥る
 場所は中小企業のメッカとして知られる温州市郊外の蒼南県。この村を流れる一本の川に、14歳の少女が身を投げたのが事の発端だった。

 昼日中のことで目撃者も多く、辺りは大騒ぎとなった。通報を受け駆け付けた51歳の警官が、すぐに川に飛び込んで少女を救出した。第一報は、そういう人命救助のニュースであった。

 しかしこのニュースは、入水自殺しようとした少女の救出から意外な問題へと向かい始める。というのも、少女を助けた警官がその後、重態に陥ってしまったからだ。

 消化器系から呼吸器系に至るまで問題が発生したため、この警官は一時危篤状態になったという。医師の診断は、川の汚水を飲んだことが原因だというもの。

しかも、病名が「汚水遊泳後遺症」だと発表されたので、余計に人々の関心を呼んでしまった。

 ただでさえ1人当たりの水資源に乏しい中国が、ここ30年余の経済発展で水資源を汚してきたことは衆目の一致するところだ。

地上を流れる川の水質汚染は語り尽くされているが、問題はむしろ地下水である。全国655都市のうち、400以上の都市で地下水が主な飲料水の資源であることから考えても、その深刻さがうかがえるのだ。