マルファン症候群とは?

 マルファン症候群は、身体の結合組織に影響する遺伝子疾患のことで,骨格、肺、目、心臓や大動脈といった多くの器官に症状が現れます.(症状の度合いはそれぞれの患者によって異なります)
 マルファン症候群患者の約75%が親からの遺伝によって生まれ、約25%は突然変異によって新たに生まれています.

 特に注意すべき点はマルファン症候群患者の大動脈は正常より太くもろいことがあり、血管にかかる圧力により、大動脈の拡大(癌)、解離、破裂や、大動脈弁および僧坊弁の閉鎖不全などが引き起こされてしまう危険があることです。

 しかしながら、早期に診断を行い、薬物治療と運動制限を組み合わせ、定期検診をし症状によっては外科的手術を施すことにより、平均に近い寿命を全うすることができます.

(突然変異によって「新たに」生まれた人たちは、まわりに前例がいないのでMFと気づかずに、診断が遅れ、危険性が高くなる可能性があります。)

 発生躾度は人口の約3000〜5000人程度と言われています。

実に2万5千人〜4万1千の日本人がマルファン症候群である計算になります。

 この症状は人種や民族にかかわらず男性にも女性にも等しく現れるものとして1896年、Marfan博士により、初めて発表されました。

 マルファン症候群は、ヒトの第15番染色体長腕15q上のフイブリリン遺伝子と連関しています(この遺伝子に異常があると起こる)。
この画期的発見(1991年・Kainulaine=による)以来・世界中で、さまざまな勇気づけられる研究が進んでいます。

 マルファン症候群にどうしてなるの?
(遺伝性疾患について)
 マルファン症候群は“常染色体性優性遺伝により遺伝します。
 このことは、マルファン症候群患者である親(母親、または父親)より産まれた子どもには、子どもの性にかかわらず、異常遺伝子が50%の確率で遺伝されるということを意味します。

また、マルファン症候群の25%は卵子または精子での異常遺伝子の出現(自発的な新たな突然変異)によってひきおこされるために、マルファン症候群の患者ではない両親のあいだにもマルファン症候群の子が産まれます。

 また平均的には10人中1人の割合で深刻な症状を伴った子どもが産まれます。

 マルファン症候群は第15番染色体長腕15qに存在する単−の異常遺伝子(突然変異)によって起こります。

体全体の結合組織(体の接着剤と足場)には非常に細かな線維(マイクロファイブリル)がありますが、この遺伝子はそのマイクロファイブリルを作っているフブリリンという蛋白質の生産をコントロールしています。

マルファン症候群はどうして起こるの?

 マルファン症候群の患者は、マルファンを熟知し、体全体の器官に及ぽす影響に精通していて、家族の他のメンバーの検査についてもアドバイスできる医師にかかる必要があります.また遺伝に関するカウンセリングも受けましょう。

 この疾患には治療法はまだありませんが、注意深い内科的・外科的処置と、それに適したライフスタイルによって、飛躍的な予後の改善と延命が可能です。

 ・心臓
  マルファン症候群の最も重大な問題は循環器系にあります.僧帽弁の2つの片が心臓が収縮した時に後方へなびく、いわゆる“僧帽弁閉鎖不全症”.この症状によって心不全や、不規則な心臓の鼓動を起こすことがあります。

 マルファン症候群患者の大動脈(心臓から血液を運ぷ本動脈)は一般に幅広でもろくなっています.この(大動脈の)広がりが進行すると大動脈弁の漏れや、大動脈壁の裂け目(解離)を発生させる結果になることがあります.
大動脈が広がると 例えば血圧を下げるためにベータプロツカーのような)薬を処方され、大動脈にかかる圧を下げて心拍を調整するでしょう.

大動脈基部の直径が5cm以上にまで広がったり裂けたりした場合には手術をすることになるでしょう.

  激しい運動や身体が接触する運動を避けるなどしてライフスタイルを変えて、大動脈や目、骨が傷つく危険を回避することが必要です.

  ベータブロツカーは大動脈基部の拡張を遅らせることが示されており、全ての患者に(ベータプロツカーの)服用を考慮すベきです.一定期間ごとの心臓エコー検査は、心臓と大動脈の大きさと機能を観察するために重要です.
・骨
 骨格系の症状として、背骨の攣曲(脊柱側攣/脊柱後攣)、異常な形の胸(‘‘胸郭”の変形)高身長とゆるい関節(しばしば関節痛や脱臼をおこす)などがあります.

 理学療法や矯正が役立つでしょう.
 ある時点で手術が必要になります.とくに幼年期から思春期には注意深い観察が必要です.こどもには靴の中敷きが役立ちます.弱い足首も時とともに良くなることもあります.

● 目

 マルファン症候群の患者は一般的に近視です.水晶体偏位や網膜剥離を起こす患者もいます。視覚的な欠陥を補うのに眼鏡やコンタクトレンズが処方されるでしょう.必要ならば今ではレンズの摘出や網膜復位といった手術も可能です.

・肺
 自然気胸(肺の虚脱)は患者の10%に起こると考えられており、病院での治療が必要です.

時空研対応


氏名   之第15番染色体長腕15qの異常遺伝子之メンタルレベル