−全人口の15%が過敏性腸症候群の疑い??

 「あのジョン・F・ケネディ大統領も、IBS過敏性腸症候群だったという論文が発表されました。もっとも、当時の医学ではまだIBSという病気の概念はありませんでしたけども」(東北大学医学部附属病院総合診療部・本郷道夫教授)

 昨年末に米『アトランティック』誌に発表された「JFKの身体的苦痛」と題された論文によるζ、彼は中学生の時から腹痛と下痢に悩まされながら、何度検査しても異常が見つからなかった。また、大統領になってからも、鎮痙剤が手放せなかったという。

 IBS過敏性腸症候群とは、癌や潰瘍といった器質的な所見がないにもかかわらず、下痢や便秘などの便通異常と腹痛や腹部不快感が慢性的に持続するものを指す。

 便秘型、下痢型、便秘と下痢が交代で起きる交代型の三種類がある。九八年に日本人を対象にインターネットで行われた調査では、交代型が一番多く、便秘型、下痢型の順であった。

  「患者のQ0C(生活の質)は、糖尿病患者よりもはるかに低いという調査結果も出ています。ところが、患者さんは適切な治療を受けていないのが実情なのです。

ネットでの調査によれば、下痢型の人の六割が医療機関で受診しているのに対し、便秘型の人は三分の一しか受診していません。

ストレスの多い現代社会では、この病気の患者さんは全人口の一〇∫一五%を占めるといわれているというのに」*カルテは別紙