インフルエンザに「絶対にかからない」男が高熱に倒れた悲しい事情

 Jさん(45)の口癖は、「俺はカゼを引いたことがない」だった。カゼだけじゃない。

インフルエンザが流行しても「絶対にかからない自信がある」と、マスクはおろか、うがいも手洗いもせずに強がっていたし、「水虫なんて生涯無縁」と言っては、会社では元は誰のだったかもわからない汚いサンダルを履いている。

 その自信がどこから来るかは知らないが、確かに入社以来「病欠」はなかった。馬と鹿はカゼを引かない、なんてことをいうが、やはりJさんは馬や鹿なのでは…などと噂されていた昨年の春先、異変は起きた。突然の高熱に倒れたのだ。
 
診療所に行くとインフルエンザと診断され、4日ほど会社を休んだ。それだけではない。ちょうど1年後の今年の3月にも、2年連続のインフルエンザがJさんを襲ったのだ。

 実はJさん、2年前に離婚し、かわいい一人息子は元妻が引き取った。その寂しさがストレスとなって、彼の体を弱らせていたのだ。

 「インフルエンザウイルスが体内に入ってきた時、健康であれば免疫細胞が素早く反応して撃退してくれますが、ストレスがあると攻撃が遅れたり、攻撃力そのものが低下してしまう。

つまり免疫力の低下が感染症のリスクを高めているのです。」と説明するのは、吉田医師。インフルエンザは命を奪うこともあるので、油断は大敵と警鐘を鳴らす。