加速し始めた円安

                       朝倉氏 フーチ 90%
 相場をみるうえで一番肝心な事は大きなトレンドを意識しておくことです。ある一定のライン、例えば140円とか160円とかいうラインを超えてくると、その時は日本国債の暴落と共に止まらない金利高、並びに止まらない円安への制御不能の動きが始まるということです。
      日米金利差による円安への動き

 多くの要因が日本で構造的な変化を起こしていることは捉えておく必要があると思います。今年5月は1.5%台だったわけですから米国では今年は長期金利が倍近くなったわけで、結果的に長期金利の日米金利差は現在2.3%となり、今年の4月、5月の時点と比べると日米の金利差は約3倍になりました。

 この日米のおける今後の根本的な金融政策の違いとそれに伴う更なる金利差の拡大については市場関係者の一致した見方であり、そういう意味では金利差という視点から考えると円安への動きは必至なのです。

 日本企業は工場建設などの設備投資を国内よりも海外で積極的に行ってきましたので、すでに工場は海外にあります。
したがって、円安になっても輸出数量が増えないのです。こうして円の需要よりのドルの需要が継続的に増加して定着して、相場としては完全なる円安方向への基調転換となったわけです。

 日銀はマネタリーベースを来年末には270兆円にもっていく計画ですから、日銀による円の供給量の拡大傾向はFRBやECBなど他の中央銀行、他の通貨を凌駕していると言っていいでしょう。

 昨年から始まったアベノミクスは株高、円安を目指しているわけですから、これでいいという見方が大勢ですが、問題はこれから後に来る止まらない円安がもたらすものです。

このまま円相場が勢いをつけて110円〜120円に動いていけば当然、輸入価格の上昇から日本でも本格的な物価高が出現してくることでしょう。それこそ悪いインフレの始まりです。
 その後―まさにアベノミクスが成功して更なる景気回復が実現した時が問題の始まりとなるのです。今後しばらくは楽観して日本経済の回復を謳歌するときです。

そしてその後、最終的には止まらないインフレの到来となります。この一連の流れの中で、円相場は円安へ、株価もまだまだ上昇続けます。しかしこれらの動きの行き着く先は、決して平穏な世界ではないことを頭に入れてほしいものです。

 日本の歌舞伎市場は今月26日からは様変わりとなるものと思います。
特殊要因が絡みますので、この1週間程度は相場の変動率が高まる可能性が高いでしょう。

そして今年の場合は年末年始高が一段と際立つこととなるでしょう。