炭水化物が人類を滅ぼす

糖質制限からみた生命の科学

夏井 睦 70%

糖質制限の基礎知識

  そもそも「糖質」とは何だろうか。
 簡単にいえば、糖質とは、「血糖値を上げる栄養素(食品)である。摂取した後、すみやかに血糖に変わるのが糖質である。問題の本質は、血糖を上げるか上げないかだけなのだ。

 80代の糖尿病患者さんに糖質制限の指導を行なったところ、体重が20キロ減り糖尿病の内服薬が不要になりました。さらに喘息と心不全在宅酸素療法を施行していたのですが、それも不要となりました。(40代、内科医)

炭水化物は必須栄養素なのか

 糖質制限をしてみるとわかるが、糖質を摂取しなくても人間は普通に生活できるし、それどころか、肥満も糖尿病も高血圧も高脂血症も治ってしまい、スタミナが付き、どんどん健康になっていくからだ。少なくとも私が知るかぎり、糖質制限に切り替えた健康人で不健康になった人は1人もいない。

 これは生物学的にも証明できる。

 人間の生存に欠くことができない必須脂肪酸必須アミノ酸に関しては、食事で外部から取り入れるしか方法がないが、炭水化物に関しては、アミノ酸を材料にブドウ糖を合成する「糖新生」というシステムが人間に備わっていて、タンパク質さえあれば自分で作り出せるからだ。

 ようするに、必須脂肪酸必須アミノ酸のように、「人間が体内で生合成できないから、いやでも外部から取り込むしかない」という意味での「必須炭水化物」は存在しないのである。

つまり、「必須栄養素としての炭水化物」を大前提に理論体系が組み立てられている栄養学という学問体系自体が、砂上の楼閣なのである。

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