子どもに薬が効かない

抗生物質乱用の代償

 保育園に通い始めて間もない4月中旬、A君は咳込んでゼーゼーと苦しそうな息づかいとなり、39度の熱も出た。大病院での検査を勧められ、東京都中央区聖路加国際病院小児科へ。
 レントゲン検査で胸に白い影が見え、肺炎を発症していた。入院し、原因菌として頻度が高い肺炎球菌に効くペニシリン抗生物質の点滴を受けた。

 4日後、鼻水などを検査した結果、この抗生物質が効きにくい耐性菌が発見された。ただ熱も下がり、食欲も元気も出てきたので、同じ抗生物質の投与を続行、入院6日目に血液検査でも改善したので、退院。でも咳はまだ出ていた。

「最終兵器」でやっと

 翌々日、再び40度近く発熱し、咳もひどくグッタリしてきたため、再入院。血液の培養検査で、前回鼻や喉から検出されたペニシリン耐性肺炎球菌が血液まで浸透していた。別の抗生物質に切り替えて点滴し、10日目には炎症を示す数値が下がったので退院した。

 「咳もむせる程度になったし、今回は大丈夫だと思いました」

 だが、母親の願いもむなしく、翌々日夕、再び火の玉のように熱く発熱して夜間に再々入院。

 「こんな事態になったのは、抗生物質が効かない耐性菌の仕業。今回はペニシリン系もセフェム系も跳ね返すタチの悪い菌で、死滅せずに肺に残っていたのでしょう」

 現段階では「最終兵器」とも呼ばれる最強のカルバペネム抗生物質を投与することを決断。

効く効かないが逆転

 耐性菌とは抗生物質が効かない細菌のこと。

病気の原因菌は、抗生物質の攻撃を繰り返し受けることで、それに対抗する力を持つ耐性菌となって繁殖する。

Bスポットにひそむ。

時空研は唯抜きまくるOK。