富士フイルムのインフル薬、ギニアで抗エボラ熱の治験へ

富士フイルムは6日、グループ会社の富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬〈アビガン(一般名ファビピラビル)」のエボラ出血熱に対する臨床試験(治験)の準備をギニアとフランスの両政府が進めていると明らかにした。エボラウイルスに対する治療効果の早期立証を目指す。

アビガンは8月に米国防総省がエボラ熱の候補薬の一つに挙げ、注目が集まった。

11月からエボラ熱が流行する地域で、患者に投与する。

仏政府の支援を受け、ギニア国内3カ所の施設で投与後の経過を観察し治療効果を科学的に検証する。治験対象の患者は60人の見通し。 

ドイツではエボラ熱患者へのアビガン投与が今月4月始まった。フランスで他の未承認薬と併用して投与を受け、退院した女性に続く2例目となる。

患者は治療のため搬送されたウガンダ人男性医師でアビガン単独で投与する。

アビガンはインフルエンザの治療薬として今年3月、日本で承認を受けた。動物実験の結果などからエボラ熱への効果が期待されている。2万人分以上の在庫があり、量産体制が整っている。

経口で服用する錠剤タイプのため、注射薬に比べ針刺し事故などで医療関係者が感染するリクスが低い利点もある。現在、効果が証明されたエボラ熱治療薬はない。

世界保健機関(WHО)の3日の発表ではエボラ熱による死者は疑い例も含め3439人で、ギニアは2番目に多い739人。