ユーロ圏の景気後退

朝倉氏 フーチ 75%
 欧州の雄であるドイツの株が急落しています。ドイツを代表する株価指数、DAX指数が9月中旬の9700ポイント台から1カ月も経たないのに8700ポイント台へと11%近く急落しているのです。
       ユーロ圏・日本と米国の違い

 厳しく膿を出す政策と怒涛の金融緩和が米国経済の構造調整を促し、短期間で今日の経済回復をもたらしたともいえるでしょう。それに比べるとユーロ圏や日本は改革のスピードが遅く、思い切った構造政策を行うことができません。

対ロシア制裁が響いたドイツ経済

対ロシアとの制裁合戦が響いて生産が急激に落ち込み、8月のドイツの輸出統計は前年同月比5.8%の急落となり、2009年1月以来の大きな落ち込みとなりました。このままではドイツは4−6月期に続き、7−9月期もマイナス成長に陥ってしまう懸念が広がってきたのです。

    ECBの政策が招いた欧州の国債

 2年国債に限ると今年9月4日の時点で、ドイツはもとより、オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、オランダと次々にマイナス金利に突入、また域外でもスイス、デンマークもマイナス金利です。こうして銀行の資金運用先がますますなくなってきたのです。

     量的緩和ドイツ国債はどうなる?

 財政が健全なドイツ国債に「買い」が殺到するはずです。何しろドイツは財政健全化に成功して、来年には新規国債の発行を停止するのです。借金まみれの日本と比べると夢のような話で、来年ドイツは「46年ぶりの赤字国債発行ゼロ」となるわけです。そうなればドイツ国債安全神話はさらに高まり、市場でさらに買い付けが増えるのも当然です。

     ドイツの財政出勤に対する信念

 ドイツの健全財政に対する信念は強いのです。これはもうドイツ全体の一つの信念です。大1次大戦後、巨額の賠償金支払いのために紙幣を際限なく増刷してハイパーインフレを起こし、その結果、ヒトラーという怪物を生み出しナチスの台頭を許したドイツ。

「悲劇の道へ突入していった過去を繰り返してはならない」という、ドイツ全体を覆う信念は誰も曲げることはできません。


       混乱続く世界の株式市場

 ユーロ圏の景気は簡単に回復するとは思えません。また米国の景気だけが頼りの世界経済ですが、市場は米国も世界的な景気減速の波が波及して影響を受けるのではと懸念し始めました。

 これら悲観的な材料を受けて日経平均は短期的に大幅安となったわけですが、それとともに日本特有のコンピュータートレーディングに翻弄されている事実もみておく必要があるでしょう。

 基本的に絶対的な円安トレンドが発生していることを忘れてはなりません。