他に類を見ない中国のまやかしの実体

浅川 嘉富氏
フーチ 80%
APEC用につくられた青空も、会議終了後わずか4日でもとの空に戻ってしまった。各国首脳に「わが首都の青い空」をみせようと、渾身の術を振るう中国政府は次々と手を打った。火葬場では遺体の着衣は焼却禁止、レストランや工場などはみな閉鎖、 数百万台の自動車は走行不可。最後には、十分な青空が演出できないため、「軽度の汚染」という表現を使おうと、駐北京米国大使館が発表する「大気中のPM2.5が国際安全基準の6倍」という観測データがネット上から消しさるところと相成った。

「国際的な面子」を何より重んじる中国政府によって、こうしてなんとかごまかしの青空らしき状況がつくられたものの、世界中の人々はみなこの茶番劇を白けた気持ちで眺めていた。世界の首脳が屋外で会議を開くというならともかく、絢爛豪華な室内で行われるAPECなら、世界のマラソンランナーが集まった北京マラソンの日の空を綺麗にする方が先ではなかろうか。

ランナーにガスマスクを付けさせて走らせながら、集まった首脳の目にえせものの青空を見せようというのだからあきれて物が言えない。こんな茶番劇でつくられた北京の青空も、APECの終了からわずか4日で元に戻り、15日にはPM2.5の数値が日本の基準値のおよそ10倍にあたる333を計測。どうやら、北京の空には似合いのPM空が戻ったようだ。

ロシアから譲り受けた原子力空母。エンジンはディーゼル用エンジンに代えられている。軍事力に見る「まやかし」。