2035年の世界?

高城 剛氏
フーチ 80%
 ・LAまで2時間半…超音速の世界の距離感覚
  一時は途切れていた超音速旅機の開発が活発化。複数の会社がQSST(静音超音速旅客機)の開発に乗り出している。実用化されれば、東京とロサンゼルスの間を2時間半で移動可能になる。従来の超音速旅客機と違い、音が静かでくつろげる。

 ・自分検索…自分のことを自分より知っている存在
  ビッグデータの時代になって、自分自身でも明確にわかっていない自分の嗜好や考えをコンピュータが教えてくれるようになった。今後はAIの発達でコンピュータとの対話が可能になり、自分のことで迷ったり悩むことがなくなっていく。

 ・マスの崩壊…個人の力が情報談合に穴を開ける

  大衆は、マスメディアによってつくられた20世紀の産物だ。しかし、マスメディアによる情報統制システムが徐々に壊れはじめ、人々は大衆の呪縛から解き放たれつつある。マスから個の時代になり、いずれ大衆は過去の遺物になる。

 ・ガバメント・オプトアウト…国家と心中する時代は もう古い

  企業から勝手に送られてくる広告に対して、拒否の意思表示をして離脱することをオプトアウトという。転じて、ガバメント・オプトアウトは政府の仕組みから一時的に離脱することを指す。海外移住や、外資への資産分散などが考えられる。
 ・サードウェイブX…搾取からフェアトレード

 「第三の波」といわれているコーヒーブームが米国を席巻。シングルオリジン(単一種の豆)を使用し、従来のコーヒー店の流通と違い、フェアとレートで生産者とつながっていることも特徴の一つ。世界的に脱コーヒーの動きが起きているが、サードウェイブコーヒー市場は成長し、同時に「脱チェーン」が叫ばれはじめている。健康意識の高まりのなかで、コーヒーも身体に良くないものとして世界的にとらえられている。日本ではシアトル系コーヒーチェーンがいまだ人気だが、アメリカやヨーロッパでは、いまやスターバックスのコーヒーは不健康なオヤジの飲み物。若い世代は、コーヒーよりミネラルウォーターやハーブティーを好んで飲んでいる。ただ、脱コーヒーの動きが強くなるなかで拡大しているコーヒーカルチャーもある。いまやアメリカでは、「サードウェイブコーヒー」と呼ばれるコーヒー店の出店が相次いでいるのだ。

 ・人生100年時代における「第二の人生」…いかに  死ぬか、それが問題だ

  人生100年時代に入ると、60歳でリタイアするという現在の常識が崩壊して、第二の人生をどう生きるのかということが社会問題化する。好奇心を以て最期まで輝く人生を送るのか、人生に退屈して暇を持て余しながら過ごすのか。それによって第二の人生に大きな格差が生じるだろう。

 ・肥満問題…炭酸飲料、ジャンクフードが医療費を増大させる!?

  いま世界各国の政府が積極的に取り組んでいるのが肥満問題だ。肥満は成人病リスクを高め、医療費を増大させて国家財政を圧迫する。それを防ぐため、炭酸飲料やジャンクフードに課税する動きが強まっている。2035年には、ファーストフードやコーラが贅沢品もしくは禁食扱いになっているかもしれない。

 ・世界政府VSイギリス金融機関…ウォール街を牛耳るのは誰か?

  タックスヘイブンを利用した企業の租税回避行動が問題になっている。この問題を解決するために、世界統一ルールにはじまり、その後世界統一政府をつくろうという動きが起きるだろう。それに抗うのは、世界の金融を実質的に握るイギリス。20世紀の東西冷戦と違い、21世紀は世界政府とイギリス金融機関との冷戦になる。

 ・成長しない世界…米国の最後の砦「インテレクチュアル・プロパティ」とは

 「人類が火を手に入れて以来…」「明治維新後のわが国は…」などと説明するまでもなく、人類や国家は成長することを前提としてここまで歩んできた。しかし、ここからは「成長しない世界」を前提に物事を考えなくてはならなくなる。資本主義の意味も、価値の尺度も変わっていくだろう。一方、現在の世の中のシステムは全て成長を前提に組み立てられている。そこにねじれや齟齬が生まれ、問題は次々と噴出していくだろう。

 ・資本主義3・0…「資本家」主義の終焉

  世界の基軸通貨はドルだが、単一基軸通貨体制ではドルが揺らいだときに全世界が影響を受けてしまう。このリスクを軽減するには、分散型基軸通貨制への以降が望ましく、これを資本主義2・0と呼ぶ者もいる。ただし、それだけでは資本主義の基本構造は変わらない。さらに資本主義3・0を視野に入れる必要がある。

マイクロクレジットベンチャーを育てる決済システム

  これまで金融機関が融資してこなかった人たちに対する小口融資。貧困層の自立を促す社会支援の一環として行われてきたが、今後は一般化して、誰でも簡単に小額資金を調達できるようになる。その結果、起業したりサイドビジネスをする人が増えるだろう。