対中国

舩井 勝仁氏
 今年の中国の国防費は、前年実績に比べて10・1%増の8868億9800万元(約16兆9000億円)で、5年連続で2桁増を記録しています。日本の国防費は約5兆円、アメリカの国防費は50兆円。

 現在の国際開発金融の世界で、中国は“金を借りている国”であることです。ちなみに中国は、「世界銀行」からは世界で第三位、アジア開発銀行(ADB)からは第二位の“支援対象国”なのです。

 このことは日本国内ではあまり知られていません。ところが、中国は既に世界各国のGDPの中でいわゆる経済大国にのし上がりました。中国の習近平主席は“中国の発展の恩恵を中国の周辺国、さらには世界の諸国に共有してもらう”と話し、中国が保有する約4兆ドルの外貨準備資金の活用を謳いあげています。

 日本でもこれまで、国家的事業(新幹線、黒部ダム等)のなかで、世界銀行からその資金を借り受け、その資金の返済をしながら、1966年にアジア開発銀行(ADB)の設立に貢献してきました。
 その後日本は、アジア開発銀行筆頭株主になり、日本から歴代総裁を送り込んでいます(現黒田日銀総裁の前職はアジア開発銀行総裁でした)。

   インドネシアでの中国漁船の爆破の影響

 インドネシア近海は、極めて豊富な海洋・漁業資源に恵まれ、これまで外航船の違法操業が野放しの状態でしたが、ジョコ政権は取締りを強化しています。インドネシアでは、今年3月までに、不法操業の外国漁船を18隻爆破していますが、20隻以上摘発した中国籍の漁船は、爆破措置を回避していました。
 しかし、中国とインドネシアの様々な外交問題と経済関係があるなかで、この度の爆破措置は、インドネシアが国内外から「弱腰外交批判」と非難されていることもあり、「領土戦略」に対して、実力をもって対抗するためにも、自国の法を執行したものと思われます。
 この度のインドネシアの示した中国漁船の爆破は、今後両国間の諸問題にも発展し、さらには、日本も含む東南アジア諸国にも影響のある出来事です。