心臓弁膜症

 心臓の弁は四つあります。
血液の流れに沿っていうと、
1,まず右心房から右心室へと血液が流れ込むのを調節する三尖弁、
2,右心室から肺動脈へ向かう血液の流れをコントロールする肺動脈弁、3,肺をへて左心房にかえった血液が左心室へと流れ込むのを調節する
  僧帽弁、
4,左心室から大動脈へと流れるところで働く大動脈'弁です。

 それぞれの弁は、心室の収縮・拡張にともなってスムーズに開閉し、血液の逆流を防止し、肺循環や全身の循環を維持します。
 心臓弁膜症は、これらの弁が障害される病気で、弁がうまく開かない弁口狭窄と、弁がうまく閉じない弁閉鎖不全とがあります。また、弁そのものがおかされる場合と、弁を支持する周囲の組織がおかされて、そのために弁の異常をきたす場合があります。弁膜症のうちもっとも多いのは、僧帽弁の障害(狭窄または閉鎖不全)で、弁膜症の約八五%を占めます(ほかの弁の障害を合併する場合も含みます)。そのほか、大動脈弁障害が約四〇%、三尖弁障害は一〇%、肺動脈弁障害が1%です。僧帽弁障害と大動脈弁障害は合併することが多く、これを連合弁膜症とよぶこともあります。
 弁膜症は先天的な原因でおこることも、後天的な原因でおこることもあります。先天的な弁膜症とは、胎児期の弁の発育不全による弁の障害です。先天性の弁の障害で比較的多いのが大動脈弁狭窄と肺動脈弁狭窄です。
 後天的な原因でもっとも多いのがリウマチ熱で、この病気にかかると一部の人に僧帽弁狭窄.閉鎖不全、大動脈弁狭窄.閉鎖不全などをひきおこします。そのほか、梅毒、細菌、先天性結合組織異常、マルファン症候群など、虚血性心疾患による弁の閉鎖不全がおこることもあります。


【僧帽弁膜症とは】成人の弁膜症ではもっとも頻度が高く、弁膜症の約六〇%を占めます。原因別にみると、リウマチ性僧帽弁膜症と非リウマチ性僧帽弁膜症に分けられます。非リウマチ性僧帽弁膜症は、さらに先天性のものと後天性のものに分けられます。また、弁の障害による血行動態への影響のちがいから、狭窄症と閉鎖不全症の二種類に分けられます。
■僧帽弁狭窄症
 左心房から左心室に流れる血液の量を調節している僧帽弁の弁口が、狭くなるものをいいます。
 僧帽弁の口径が狭くなると、左心房から左心室へ血液が流れにくくなり、左心房にたまってしまいます。そして、左心房の内圧が高くなるにつれて、肺静脈の圧も高くなります。このため、左心房は強く収縮して左心室へ送る血液の量をふやします。長期にわたってこのようなむりが続くと、左心房の壁がしだいに厚くなって収縮力が低下してきます。こうなると、心臓からの拍出量はへって、肺にはうっ血がみられ、心不全の症状がみられるようになります。
 僧帽弁狭窄症の症状は、呼吸困難、咳、頻脈などです。重症になると、心房細動になってきます。
 **僧帽弁の弁口
   弁周囲組織にEGを入れ、ウイルス・細菌・フリーラジカル等を抜く。更にリュウマチ熱に関る時は(扁桃炎・咽頭炎の溶連菌感染)
 免疫複合体・IgE,G抗体・IgM抗体・マスト細胞を抜く。
 
■僧帽弁閉鎖不全症
 僧帽弁がぴったりと閉じなくなるために、左心室から左心房への逆流が生じます。このため、左心房や左心室の内腔が広がって圧は高まり、長年続くと左心房、左心室の筋肉は肥大し、さらに傷み、収縮力が低下し、心不全不整脈がおきてきます。
 僧帽弁閉鎖不全症では、弁をひっぱっけんている腱の断裂などの例外を除いて、急に症状があらわれることはありません。弁の閉鎖不全が軽けれぱ、一生なんともない人もいますし、一〇年以上も症状がなく、高齢になってからしだいに呼吸困難や動悸が強くなってくるという経過をとることもあります。
*時空研対応は狭窄の時と同じ。
■乳頭筋機能系全症候群
 僧帽弁を心室側からひっぱり、弁の先が心房側に向かないようにしている腱索は、心室の壁の乳頭筋という筋肉組織に、いっぽうの端がつながっています。この乳頭筋の異常によって、弁の閉鎖不全がおこることもあります。
**寝室の壁の乳頭筋及び腱索にEG入れ、抜くものは同じ。
 たとえば、心筋梗塞や特発性心筋症などにより乳頭筋が損傷されたような場合には、腱がうまく働かなくなり、僧帽弁閉鎖不全がおきます
■僧帽弁逸脱症候群
 僧帽弁は、左心室が拡張するときには左心室のほうへ開き、左心室が収縮するときにはぴたりと閉じるようになっています。僧帽弁の構造が変化してたるみ、左心室が収縮するときに左心房側に落ち込んでしまうものを僧帽弁逸脱症候群といいます。

要は僧帽弁をシッカリ正常かする事。
 心エコー検査の発達により、この病気はこれまで考えられていたよりもはるかに多い病気であることがわかってきました。無症状のものを含めると、健康人の一〇%前後に僧帽弁逸脱がみとめられるという報告もありますが、原因はわかりません。しかし、治療の対象となるものは、それほど多くありません。マルファン症候群に合併しやすいといわれています。

大動脈弁膜症
 心臓弁膜症のなかでは僧帽弁膜症についで多い病気です。原因からみるとリウマチ性と非リウマチ性があり、弁の障害による心臓の血行動態への影響のちがいからみると、閉鎖不全と狭窄とがあります。

 大動脈弁閉鎖不全症では、大動脈から左心室への血液の逆流があるため、左心室は収縮力を高めて血液をさかんに送り、これを補おうとしますが、むりが続くと左心室の壁ぱ肥大し、ついにはその心筋障害がすすみ、収縮力が低下して、末期には心不全不整脈狭心症がおこってきます。
 大動脈弁狭窄症では弁口が狭くなるため、左心室から大動脈へと送り出される血液の量がへります。それでは、からだの新陳代謝が維持できないので、左心室は収縮を強めて、十分な量を確保しようとしますが、やはり長く続くと左心室の壁は肥大し、収縮力が低下してきます。こうして心不全におちいります。大動脈弁膜症は、狭窄、閉鎖不全ともに長く無症状で経過したのち、心筋がかなり障害されて、呼吸困難、動悸、息切れなどの心不全の症状があらわれてきます。
 逆流量の多い重い大動脈弁閉鎖不全症では、最低血圧が下がって、最高血圧は逆に高くなります。
 治療は心不全不整脈の症状に応じて薬物が用いられます。重症例では、早期に手術も実施されます。

そのほかの弁膜症

■三尖弁の障害
 三尖弁にも、閉鎖不全と狭窄とがあります。先天性奇形やリウマチ熱などで、直接弁が変形することは少なく、大部分が僧帽弁膜症が重症となり、右心室不全、右心室拡張をおこした結果、三尖弁口の枠ともいえる弁輪が広がって、弁がうまく閉まらなくなった相対的な閉鎖不全です。症状、診断、治療は重症の僧帽弁膜症に準じます。
■連合弁膜症
 僧帽弁と大動脈弁、肺動脈弁など二つ以上の弁が、同時に障害された場合を連合弁膜症といいます。

大動脈弁と三尖弁の対応は僧帽弁の時と同じ。