中国株暴落の意味

田中 宇氏
フーチ 80%
中国を仮想敵と定め(観光業や小売業が中国人観光客の増加で破綻をまぬかれているのに)嫌中プロパガンダがあふれる日本では「中国はもうダメだ」「ざまあみろ」という感じの論調が席巻している。たしかに、株価の3割暴落は衝撃的だ。しかし歴史をふりかえると、中国は、以前にもっとすごい株式のバブル膨張と崩壊を経験したのに、実体経済の成長が止まっていない。

米日の株価は、日銀などのQEによるテコ入れで、バブルが崩壊せず膨張し続けている。QEは、不正な株価操作そのものだ。リーマン危機後、部分崩壊したままの米金融システムを延命させるため、バブルに頼らざるを得なくなった。

米日の当局は、自分たちのバブルが危険な水準まで膨張していることを知っているはずだ。中国は経済成長の原動力が金融でなく実体経済(輸出や内需用の製造業など)なので、中国のバブル崩壊は、実体経済に大した影響を与えない。対照的に米日は(みせかけの)経済成長の証拠をQEなどによる金融バブル膨張の効果(株価上昇など)に頼っているので、バブル崩壊実体経済の(見せかけの)成長を崩してしまう。