世界経済の破断界

若林 栄四氏
フーチ 70%
    すでに最悪期を脱した日本経済

 米国経済が長期の低迷に入る中、日本経済の先行きはどうなるのか。日本経済は最悪期を脱して、快方に向かっていることは確かである。
 そもそも経済の流れ、景気の波動、通貨の変動、株価の消長これら全ては、人為では如何ともしがたい宇宙のリズムで動いているものであり、いわば複雑系の世界なのである。今ある現象の延長線上に未来を描くと、ほとんど間違いなく見当はずれな未来像になってしまう。大規模介入で“本来”の姿が現れるのが遅れている米国経済。


  金融政策手詰まりの中で露呈するEUの限界

 先進国は金利ゼロの世界に入っている。ECB(欧州中央銀行)も2015年3月から、従来のマイナス金利に加えて量的金融緩和(QE)に踏み切った。

 これらの施策が功を奏するのだろうか。米国のQEの失敗、日本のQQEのIrrelevanceをみると、どう考えてもECBの政策が成功するとは思えない。若干のリバウンドはあっても、基本的に斉整とデフレに向かうのが欧州である。これからデフレに向かう逆風の中で、EU、とくにユーロゾーン19ヵ国は苦しい。

米国の場合、 QE失敗後の経済運営で、金乳政策は種切れとなった。政府による財政支出が必須となって、紆余曲折はあるものの、財政支出に踏み切ることになると思われる。一方の欧州は、とくにユーロゾーンは、デフレの本家のドイツがヘゲモニー(主導権)を握っている。

いつから本格的に欧州が苦しくなるかというと、おそらくデフレとユーロ高とのスパイラルが発生するときである。ユーロ解体はいつなのか。