運命は変えられる

井上 裕之氏
「こうなったのは運命だった」「何回やってもダメなのは、運命ということなのかな」望んでいたことが実現しなかったり、思い描いていた夢が叶わなかったとき……。

人は「これも運命だった」と、現実を受けとめようとして、自分にそう言い聞かせることがあります。失敗したりうまくいかないことを「運命」だと理由づけする気持ちも分からないですが、決して好ましいことではありません。

もともと自分に向いていなかったこと、それをする時間が足りなかったこと、経済状況や周囲からのバックアップ態勢が整っていなかったことなどなど、失敗した理由は挙げればキリがありません。

確かにタイミングが合わなかったから、思うような結果が得られかなかったのでしょうが、うまくいかない、成功しないことがその人の運命として最初から決まっていたわけでもありません。

そもそも最初から成功や失敗という運命が決まっている人はいないのです。先天的なもので人生が決まっているとしたら、最初から結果が見えているということですから、誰も努力や工夫をすることがなくなるでしょう。自分の人生を振り返ってみても、思いがけずに早く仕事を片づけられたとか、油断したから作業をしくじったという想定外の経験は日常的に誰でもしているはずです。

もし仕事を早く片づけられることも作業にしくじったことも運命だとしたら、われわれは運命の脚本家が決めたとおりの人生を自分の意思とは関係なく歩んでいることになりますが、そんな人生を歩みたいと思うのは少数でしょう。人生は思いどおりにならない。そう思っている人は多いはずです。

思いどおりにならないということは、逆に言うと、いくらでも変えられるということです。つまり、運命は変えられるのです。自分の選択と行動、そして思いがあれば、誰もが運命を変えることができるのです。